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ノーカウント=SIDE H=
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濡れた体は、何度でも欲しいというようにオレを求めてしがみついてきた。
情欲に濡れた表情も、何もかも自分のものにできた気がして、調子に乗って何度も欲望を遂げた。
それなのに起きたら、すっかり忘れてしまったかのように元の意地っ張りな先輩に戻っていて、かなり体が辛いだろうに、そのまま帰ろうとまでする勢いだ。
しかも数ヶ月顔を合わそうとしなかったくせに、嫌ってないなんてよく言えたものだ。
そう思った途端、先輩の口から飛び出したのは思ってもみない事実だった。
「給水タンクのとこで……オマエ見ながら昼飯食ってたよ」
「なぜ……何でですか。一人でさびしくメシ食ってる姿見て…何がおもしろい…んですか」
一人でメシを食べてるオレを見てあざ笑ってた?
いや……そんなことはしないはず……そんなことしても意味ないだろう。
オレの問いかけに、先輩は耳まで真っ赤にして視線を落とす。
「俺、オマエに付き合えって言った後、後悔した」
静かに語った先輩の言葉に、心臓が凍りついた。
後悔?
いまさら、ナニ後悔とか言っちゃってるんだ?コイツ。
というのが、正直な感想だ。
男同士で付き合えって、冗談にもほどがあると思って、冗談かと言ったら怒ったくせに後悔とかいまさら言い出すとか。
馬鹿にしてるのだろうか。
「オマエの力に頼って、ランクあげてその褒美に付き合えとか、意味分からん。だから、勉強教えにこねえでイイって言った。俺の力で、ランクあげてもう一度……オマエに付き合ってくれって言おうと思って」
顔を上げた先輩の表情は、自嘲するようないつも浮かべている笑みに戻っていた。
少し寂しげで、どこか放っておけなくなうような消えてしまいそうな表情だ。
理由がそんな後悔とは思わなかったが、スジは通したい人なのだろう。
「会って、話しちまったら……抑えきかなくなりそうだからよ。会ったら、好きだって言っちまうから……オマエの言う様に会わないように避けてた」
困ったように呟く先輩が、愛しくて思わず抱きしめたくなる衝動を抑える。
「狭い校内で、どうして出くわさなかったか、不思議だったろ。……そりゃ、俺が隠れてオマエのこと見てたから出くわすわきゃねえんだ」
偉そうな口調で言う、先輩が本当に好きだなとオレも自覚する。
ちょっと天井を見上げて、ふうっとひといきつくと先輩はオレの顔をもう一度まっすぐ見返す。
「中間考査、8位とったんだぜ。全部うまくいくと浮かれきってたんだ……」
先輩の目が曇って、ぎゅっと閉じられる。
「でもよ、あんなカッコ悪ィとこ見られたら、もう……オマエに告白する資格なんかなくなった」
さらさらっと金色の髪が俯いた先輩の顔を表情ごと隠す。
オレは恐る恐る先輩の髪に手を伸ばして触れる。
「僕と……付き合ってください。貴方が好きです」
その瞬間、バッチンっと激しい音でオレの頬が張られた。
「ざっけんな。同情とか真っ平なンだよ」
殴った先輩のほうが痛そうな顔をしてオレを泣き出しそうに表情を歪めて見ている。
あまり殴られたことがオヤジ以外にないからか、キレやすい遺伝子なのか、思わずオレは先輩の腕を掴んで捻り上げていた。
「痛ェ…な、離せ」
「人の話聞いてた?オレ、アンタに会えなくて寂しかったっつったろ。会えなくなって、気づいたんだよ。アンタが好きだって……同情で男抱けるかよ」
思わずまくし立てると、驚いた表情で先輩はオレを食い入るように凝視した。
「……でも……昨日……俺は……あんな……」
首を俯かせて何度もかぶりを振る先輩の頭を、オレはそっと抱きしめた。
昨日のことははっきりいって、強姦でどうにもならなかったことだ。
ただの事故みてえなもの。
意外にというか、かなり真面目な先輩はそれでも気になるらしく、うーんとか唸っている。
「あんなのノーカン。さっぱり忘れなよ。つーか、オレが忘れさせてやる」
ぐりぐりっと頭を撫でて額にちゅっと唇を押し当てると、先輩は困惑した表情でオレを見上げる。
「オマエさ……さっきっから性格ちがくね?」
「こっちが、わりと地だと思う……キレると地がでちまうんだけど。」
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