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脆弱=SIDE S=
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忘れるつもりだったのに脳みその奥から湧き上がってくる戦慄するような記憶。
俺に触れているのは、奴らじゃなくて長谷川なんだって何度も自分に言い聞かせても、フラッシュバックは止まらず身体が震えて長谷川に縋り付くので精一杯だった。
なんだって、こんなに俺は。
弱ェんだ。
西覇のアニキのダチというスポーツマン風の男が帰った後、西覇は俺にオニギリやパンを持ってきて手渡す。
「アニキの身長がでかくて、僕が普通なのは、誠士さんやヤっちゃんが大量にメシを与えてたからだと思うんだけどね」
隣に座った西覇は、俺の顔を見上げて食べる様子をマジマジと見つめている。
「屋上でさ、成春さんが僕に色々オカズくれて、アニキもこういう気持ちだったのかなとか。最初は友達ってイイなとか、そんな気持ちだけだったのにね」
西覇は、毛布の上から俺の背中に腕を回して寄りかかってくる。
「スマネェ。……自分で、イイって言っといて。期待だけさせて出来ねえとか……」
ぎゅっと毛布の下で拳を握ると、西覇は首を横に振った。
「昨日の今日ですよ。仕方ないでしょう。それに、僕がほしいのは成春さんの身体だけじゃないです」
眼下に見える黒髪の隙間にある西覇のつむじをじっと眺める。
「…抱くほうなら出来そうだけどな」
ボソッと呟くと、西覇はちょっとイタズラっぽい表情で口元を緩めて笑う。
「成春さんの大きいから、ちょっと難しいかも」
困ったことに、ポジションは譲る気は全くないらしい。
そのセリフに俺は思わず笑ってしまい、西覇の身体をぎゅっと抱き返した。
「そうやって笑うとこ、ずっと見たかったんです。屋上でたまにそうやって笑ってくれた…会えなくなって、それが見たいなって思ってました」
胸元で呟く西覇のつむじに唇を何度か落とす。
「俺は、西覇のつむじをずっと見てた。ずっと触れたかった。触れたかったのは、俺の方なのに……」
今は、触れられることすら怖くて仕方ない。
瞼の裏で弾けるような光景が消えてなくならない。
こんなに焦がれているのは俺の方なのに。
弱くて仕方が無い。
俺が嫌になる。
抱きしめる腕に力が篭る。
「だいじょうぶ。忘れさせるってさっきも言いましたよ。時間をどれだけかけてもいい」
耳元で囁く声が心地よくて、俺は素直に頷いた。
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