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受容と需要=SIDE S=
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寄りかかってくる癖に、妙に男らしいことを言う西覇に絆されつつ、サラサラの髪を楽しみながら指先で解く。
「ちょっとオマエ、カッコイイこと言い過ぎ」
「惚れてくれます?」
顔を覗き込むように上目遣いで見られると、カッと頭に血が登る。
どう考えても、こいつは可愛いだろう。
「うっせえ、元から惚れてるっての」
「成春さん、可愛い。真っ赤になってる」
クスクスと笑いながら俺の頬にちゅっちゅっと唇を押し付けてくる。
普段がクールなだけに、このギャップはかなりくる。
つーか、やっぱり抱きたいなと思う。
ガチャっとまたもや急に部屋の扉が開き、長身の男が入ってきた。
ぱっさぱっさに広がった白い髪と鋭く射抜くような目をした男。
一度だけ校門で見た、西覇のアニキである。
距離があるのに、気圧されるような威圧感がある。
つかつかと俺の前に立って目線を合わせ、すうっと値踏みするように細められる。
うわ、殺されっかも。
「カラダ、大丈夫かァ。ほい、これのんどけ」
無造作に手渡されたのはユンケル皇⚪︎液の高級バージョンである。
1000円以上はする筈だ。
思わず呆然として、キラキラの金色の箱に入ったそれを凝視してしまう。
「結構つええクスリ使われてたべ、俺もそーいう時、そいつが1番効くンだ。」
にっと凶暴そうな顔で上唇をあげて笑い、タバコを取り出して加える。
そういう時って……。
「アニキ、じじくせえ。つうか、アニキに滋養強壮って不要じゃねえの?」
自分のアニキに相手には流石に優等生ヅラはしないようだ。
「セイ。媚薬使われた後は、マジでHP1になんだぞ、スライムにぶつかっただけで教会送りにされんだぞ」
首を振って、頭悪い丸出しの例えを出すこの男が、本当に鬼だの悪魔だの言われているおとこなのだろうか。
それにしても、使われてるって……どういうことだろう。
西覇も呆れた顔で自分の兄を見て首を左右に振る。
「コレ、オミヤゲ」
鬼のハセガワと呼ばれる男は、俺の膝の上にガチャガチャと音が鳴る袋を置いた。
俺はユンケルをベッドの上に置いて、袋の中を見ると、スマホが何台も入っている。
「奴ら、撮影してたみたいだから、もらってきた。ロック解除済だから、自分で消してくれ。俺は中見てねえから」
「アニキ?」
「あれから追っかけて捕まえたンだ。かーちゃんには怒られたけど」
「……ありがとう……ございます」
恐る恐る袋の中に手を突っ込もうとすると、ひょいっと西覇が其れを取り上げる。
「見なくていいですよ。壊します。」
「こわ…す?」
「返す約束とかしてねえよな」
自分のアニキとはいえ、ハセガワをぎっと睨みあげる西覇に俺の方が焦りそうになる。
「してねえよ。面倒だし」
「壊してくればよかったのに」
「壊したって言葉だけで安心できンのか」
西覇は袋に手を突っ込み一台一台バキバキと簡単に手で折っていく。
「できねえけどさ。アニキは甘いから。強姦するよな奴は何されても文句いえねえんだよ」
「別に甘くはねえとおもうぞ。ちゃんと病院送りにしといたし」
「アニキは強姦したヤッちゃん許してるしさ」
前科があるんだよと吐き捨てるように言う西覇の言葉に俺は目を見開いて、長身で鍛え上げられた抱かれるにはそぐわ無い身体を見上げる。
「……俺はヤスが好きだからイイんだよ。別のヤツにやられたらブッ殺す」
つうか、アニキのほうが彼氏さんにだかれているというのか。
しかも、強姦されたとか。
衝撃すぎるだろう。
ソファーにどっかりと腰を降ろして銜えていたタバコに火を点けるハセガワ兄をじっと見返す。
「アニキはさ、ヤッちゃんのこと抱きたいとかねえの?」
「……ねえな」
はっきり断言して、ふうっとタバコの煙を天井に向けて吐き出す。
「アイツが俺に突っ込みてえって言うんだから、その需要にこたえてやりてえって思う。逆に、抱かれてえって言うなら抱くし」
自分の意思はあまり関係ないといった言葉に、自分が思っているような男ではないのかなと思う。
「需要と供給がうまくいかない場合はどうすればいいと思う?」
「どっちかが受容するしかねえだろ。うまくいくかうまくいかねえかじゃなくて、うまくやれるようにする意思があるかどうかだ」
面倒そうな表情を浮かべて答える男はそんなに簡単に受容できるものなのかどうか。
どちらも受容できなければ、男同士でなんてありえないのだ。
あの時、ありえないとはっきり言った西覇の言葉が蘇る。
ありえないというところから、だく方ならありえると受容してくれたのだ。
だとしたら、俺ももう一歩受容しなきゃならねえだろ。
「あの……聞いてもいいですか。突っ込まれるの怖くないですか」
思わず聞いた俺の問いかけに、ハセガワ兄はにっと笑って胸を張って答えた。
「………俺に怖いものはねえ」
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