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叢雲=SIDE S=
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これまでなら、しっかり寝ていた授業も、ノートをきちんととって反復作業などしている姿は、以前の俺を知るやつらからすれば晴天の霹靂というやつかも知れない。
周りの目などまったくもって気にしなかったが、声をかけるやつも多くなってはきている。
微分積分のグラフに取り組みながら、休憩時間の今は数学の予習などに励んでいたりする。
首席をとったら……なんて約束は交わしてないけれど、肩は並べたいなと思っている。
とりあえず並べてから、自分の欲望についてはちゃんと筋を通して話さないとなと考えてる。
確かに、西覇と繋がることができるのなら、どちらでも構わないしキモチ好いし、とは思っているんだけど、それでも、欲は欲として存在している。
男なら、そうだろう?
だから、取りあえずは肩を並べたいキモチでいっぱいだ。喧嘩の技術は、どうやら超えられない壁がありそうではあるが。
とりあえず、ここの首席を取るのも非常に大きな壁だし、そう簡単にとれるとは思ってない。
俺には一年のブランクもある。
「……瀬嵐君、ちょっと話があるんだけど」
肩に手をかけられ、俺はグラフをにらんでいた目でそのまま上からかかった声の主をにらみ上げる。
「あ"?……ナニ?」
不機嫌な調子で返すと、席のそばに立っている男は一瞬怯む。
女子がいればきゃあきゃあと騒ぎそうな、なんとかJrっぽいような顔立ちの男である。
この間あった、西覇のアニキの彼氏には劣るが、十分王子様といっていいほどの綺麗な男である。
少し長いまつげに、整った唇。男にしては色気みたいなオーラがある。
「ちょっと、ベランダでいいかな」
冬の寒い時期にベランダに誘うとは、本当に少し変わったやつかもしれないが、喧嘩の誘いではないようだ。
「……さみいから、早くすませろよ……」
ぱたんと数学のノートを閉じると、軽くうなずいて腰をあげる。
見てくれも優等生っぽいし、喧嘩に強いようなオーラはない。
まあ、西覇もそんなオーラはないので、そこだけでは判断できないけれど。
立ち上がって、頭ひとつ違う相手のつむじをみながら、ベランダへと向かう。
巻き方は、やっぱり西覇のつむじのほうが綺麗だ。
あー、早く西覇にあいてえなー。
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