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副会長2=SIDE H=
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何だ、この状況。
いつものように昼休み、最近は寒いから食堂で成春と食べているのだが、成春の横に見慣れないものがある。
ちょっと劣化したヤッちゃんのような、綺麗な顔の男が当然のように成春の横に座って、重箱のような弁当をテーブルに広げている。
容姿端麗、眉目秀麗と有名な生徒会副会長さんだってことは、オレでも分かっている。
「……成春?副会長と仲良くなったんですか」
ちょっとだけ険を篭めてメガネのフレームを動かし、相手から表情を隠す。
「なんか付いてきた。悪ィ……」
気分悪そうな成春の表情から、かなり嫌がっていることが分かる。
派手な重箱から、色とりどりのおかずが並んでいて、比べるとオレの弁当は相変わらずのひどいものなのだが。
「君は、ああ…一年の首席君だね。先輩を呼び捨てにしちゃいけないんじゃないかな」
「長谷川です。そうですね、副会長。仲良くなりすぎて、礼を欠いていたかもしれません。成春先輩とは、ご友人になられたのですか」
慇懃無礼を絵に描いたように返答したが、こういうタイプはオレの対応に気がつかないだろう。
っていうか、オレのもんになに馴れ馴れしく触ってるわけ?
イライラで、地がでてしまいそうになるのをなんとか理性で押さえつける。
「僕が、彼を見初めて告白をしたのだが、断るのでね。僕の良さをアピールしようとついてきたんですよ」
はああああああ?
何してくれてんの。
つーか、成春もこんなもん巻いてこいよ。
「西覇、俺には好きな奴がいるってちゃんと言ったんだ」
そうだろうとは、思う。
明らかに、この副会長の配線がずれずれなのはオレにも分かる。
成春がまったく悪くないことも、分かる。
「僕ほど優秀ですばらしい男はいないのに、断る意味がまったくわからないのでね。まだ、彼は僕のことを知らないだけだろうから、わざわざアピールしにきたんですよ。きっと、彼も僕に惚れてしまうに違いないですから」
そんなものになびくわけはないと分かってはいたが、猛烈にカチンときて別のスイッチが入ってしまう。
かーちゃんの手作りキャベツ千切りを思わず手にして、副会長の頭にどさっと盛ってやる。
殴らないだけマシと思え。
「き、君は何を!」
オレは、少しすまなそうな口調で、周りに聞こえるように言う。
「あ、ゴメンなさい。手が滑っちゃったみたいです。制服汚れてませんか?」
タオルをもって副会長の肩や頭を軽く払い、耳元でドスを効かせて囁いた。
「副会長さん、残念ながら成春はオレのもんです。手ェ出したら、ちんこ刻んで山に撒きますよ」
副会長はわなわなっと震えて、オレを恐怖の形相で見やると腕で体を振り払って、走って食堂を後にした。
「西覇……怒ってる、か?」
「あいつ頭おかしいな……。怒ってないですけど……。なんだか嫌な予感がします。気をつけてください」
成春に怒るのはお門違いだが、アレは厄介なタイプの気がする。
ちらばった、大切なおかずをほうきで片付けながら、オレは成春を見上げてため息をついた。
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