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最悪の高校=SIDE S=
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囲まれていると気づいたときには手遅れだった。
高校からずっとつけられていたのだろう。
15人以上の気配が俺たちの周りにはあった。
「西覇……」
「大丈夫。気づいてますよ。」
目の前に立つ男の制服は、忌まわしい東高の制服で、この辺にはいないはずの学区なのにどうしてこれほどの数がいるのか不思議で仕方なかった。
偏差値は名前がかければ入学できるとまで言われているレベルで、手の付けらない悪の巣窟だと聞いている。
それに……前に俺を追いかけて強姦したやつらも東高だった。
もう二度と会いたくないと思っていたのに。
自然に足が竦みそうになり奥歯をぐっとかみ締める。
この数じゃ、西覇だってどうにかできるレベルじゃない。
西覇が最強だといっても、一高での話であり東高になんか太刀打ちができるはずがないのだ。
「成春……、とりあえず、逃げてコレでアニキ呼んでください」
西覇は俺のコートのポケットにスマホを突っ込んで、後ろ右脇にある横道を指差す。
「オマエを置いて逃げれるわけねェ……だろ」
ここで一緒に戦って、それで共倒れになるならそれでもいいと思っている。
自分だけ助かろうなんてできるはずがない。
「…僕は貴方が大事です」
「ざけんな、俺だってそうなんだよッ!!」
声をあげると西覇は、深く吐息を吐き出して俺の首筋に向けて、ガッと手刀を打ち下ろして、俺は予想外の攻撃に受身をとることもできず、地面へどさりと転がった。
「……すみません。貴方を守りたいんです」
西覇の声が遠くからして、意識はすううううっと暗闇へと落ちていった。
目が覚めると喧騒が遠くから聞こえる。
…西覇……っ!
ふらつく感覚にまっくらな路地を這いずるように声がするほうへと向かい、影からのぞき見ると10人くらいの東高のやつらが呻きながら倒れており、血だらけの西覇が5、6人に囲まれて嬲るように痛めつけられている。
…ッ……。
飛び出して助けようかと体を持ち上げると、コートのポケットから西覇のスマホが覗いて見えた。
このまま飛び出していっても、西覇の足手まといにしかならないことは明白だった。
ぐったりとした西覇の体を抱えて東高のやつらがその場を後にしようとするのを、俺は尾行するように少し離れて後をつけながら西覇のスマホの電話帳の一番上のアニキという項目の電話番号をタップした。
コール音がむなしく響く。
でねーのかな……くそ。とりあえず今のところ活路を見出せるのは、西覇の伝説的なアニキの力しかない。
ヤクザ並みといわれる東高のやつらに対抗できそうな知り合いは彼だけだ。
”……ッ……ンだよ、セーハ?”
しつこくコールすると、やや疲れたような掠れた声のハセガワ兄の声がした。
風邪でも引いてるのか。
マジで運がねえかも。
「あ。すみません、俺…ええっと西覇の……」
みなまで言わせずに、ハセガワ兄は俺を特定したらしく、声の感じが少し変わる。
”……あ、セーハの彼氏か。…セーハ、怪我でもしたァ?”
「いや……喧嘩に巻き込まれて……東高の奴等に拉致されて……」
瞬間ふっと電話の先の空気が変わる。
喧嘩という言葉に反応したらしい。
”……どこ?”
「ええっと、今は大山の方面です」
東高は大山の先の尾道という場所にある。
”……ヤス、とりあえずちんこ抜いて。セーハ、助けに行く”
って今、セックス中かよ………ってそんな最中で平気でしゃべってるって、何もんだよ。
いや、常識で考えちゃだめなんだろうけど。
伝説の人っていうのはきっとそういうものに違いない。
”……ン…っ、っと、連れ込まれた場所とか分かったら電話くれ。そっち向かうわ。何人くらい?”
「15以上いましたけど、西覇が10人は倒したんで」
”5くらいなら…まあ体力ねえけどいけるかなァ。ヤス、バイク乗せてって。10分くらいでいくから、とりあえず、場所だけよろしく”
一方的に話すと通話が切れてしまい、俺は東高のやつらの背中を追うことに専念した。
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