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危機2=SIDE H=
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体が熱い。
力が抜けていくのにナイフが刺さった場所はじくじくと熱をもってきている。
「どーする。コイツ。捨てて死なれて足がついたらマズイでしょ」
「さすがに一高だしなァ。すぐ捜索願だされそうだ」
オレを抱えた男は、どこに向かっているのかわからないが、荒い息をついている。
オレは死ぬのかな。
ぼんやりとした脳みそでしか考えられない。
きっとこのまま行方不明になっても、警察になんて親が頼るわけがない。
体中もしびれて力が入らない。
捜索願も出ないとは思うけど、成春探してくれるかな。
「ったく、高くつく仕事になっちまったぜ。楠木くんから倍はもらわないと……」
「とりあえず、バラすわけにはいかねえしな、手当てしねえとな」
いやいや、ナイフ抜くとか普通にしたら、死ねる自信あるからいじらないでほしいんだが。
朦朧としながら冷静に考えてしまう。両親譲りのオレの毛の生えている心臓をどうにかしてほしい。
「しっかし、一高にゃもったいねえ腕だよな。東高に欲しいぜ」
オレを担いでる男が、馴れ馴れしくオレの腕に触れる。
気色悪い。触るな。
と思うが、苦しくて痛くてたまんなくて声さえ出ない。
「すっげえアタマいいらしいじゃん。どうかんがえたって東高にはこねえだろ」
「とりあえずアタマ叩いてバカにしてみるとか。」
ごつっと叩かれて、ぐわあんと全身が痺れる。
「そっか、ぶったたきまくればパンチドランカーになるかもな」
手当てしたいのか殺したいのかどっちかにして欲しい。
だからアタマ悪いやつはいやだ。
そんなことでアタマ叩かれまくるとか、ホントイヤ過ぎる。
反論もできねえくらい、オレはぐったりとして力もまったく入らない。
薄暗い建物へと担ぎ込まれ、擦れてやぶれかけたソファーの上に降ろされる。
あまり衛生的とはいえない。
「すっげえ血でてっけどどうする」
多分内臓もやられてそうだし、病院に連れてってほしいのだが期待できねえだろう。
薄目をどうにかあけると、ここにいるのは4人で、ガタイのでかい金髪と俺を運んでいたスキンヘッドの男と、ピアスが唇と耳にいっぱいぶらさがっている男と、アホ丸出しなロン毛の男が俺を覗き込んでいた。
「死なせるわけにいかないし、止血しようぜ」
ロン毛の男がオレの心臓に掌をあてて生死を確かめている。
「包帯とかないぞ」
ぶつぶついいながら、そこらへんに散らかっているおもちゃなどをどけながら使えそうなものを金髪の男はあさっている。
「このシャツ脱がすか」
ロン毛はオレのワイシャツをめくりながら、ナイフがささった場所を眺めて呟く。
「寒いんじゃねえか」
ピアス男はガクガク震えているオレの腕をとって、金髪の顔を見返す。
「しょうがねえから俺のぬぐし」
金髪は学ランを脱いで、大きなシャツを脱いでピアス男にほおる。
「くさそう」
ロン毛の男は突っ込みをいれるが、どうでもいいけど早く手当てしてくんねえかな。
「ばっか、俺、常になんかイイにおいつけてっし」
「よけいくさそう」
「嗅いでみっか?」
「どーでもいいから早く止血しよーぜ。しんじゃうよォ。俺まだ殺人犯にはなりたくねえ」
スキンヘッドの男は、ロン毛の男がシャツを刻んで紐を作成するのを、せかすようにわめく。
「俺も、次は年少ねって言われてンだよ」
ロン毛はくさそうといったシャツで、オレの傷口の間を締め付けるように止血し、ぎゅうっと体を紐で縛っていく。
「止まった?」
「少し止まった。でも楠木君、こいつの何がお気にめさなかったんだろうねェ」
「なんか狙ってる子のオンナらしいぜ」
興味なさそうにピアスの男がオレを指差す。
非常に間違っているので訂正したいが、口を開く余裕はない。
こいつらのいい加減な止血で、回復するとも思えない。
「へえ、オンナになれるんかな。コレ」
「いい具合なら使いてえなァ」
金髪がノリノリでオレのベルトのバックルを外してくる。
……ぶっ殺すぞ……
つーか、こんなんでヤられたら、確実に死ねるんだけど。
本当にバカはイヤだ。
「試してみるか」
ズボンをひき下ろされても何の抵抗もできないのがもどかしい。
「顔綺麗だし、いけるかも」
「ナイフ刺さってるのに、俺らのナイフも刺しちゃうのか」
ピアスのやつが笑えないシモネタをいってくる。
つか、マジで死ぬって……。
死因が強姦とか、マジでない。
どうにか……動けねえかな……。
「……だってなあ……ほら、使える穴があれば入れたいだろ」
犬でも犯してろ。カス野郎。
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