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救出=SIDE S=
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古い廃屋へと奴等が入っていくのを見届け、近くにある建物を確認すると俺は再度ハセガワ兄へ通話ボタンを押した。
"どこだ?"
もしもしも何もなく、端的な言葉に一瞬怯むが、目の前の小学校の名前を確認する。
「鵜野小の隣の廃屋です。どれくらいかかりそうですか」
"2分待ってろ"
電話が聞こえてすぐバイクの唸る音が聞こえ、背後に強烈な威圧感をもって立つ二人の姿があった。
特に、イケメン王子のほうは非常に不機嫌そうな凶悪なオーラを放っている。
セックスの途中で邪魔されたらそうなんだろうけども。
「スイマセン……俺のせいなんです」
「いや……20人くらい軽くのせないセイハが悪い」
ハセガワ兄は、鍵のかかっている廃屋のドアを回し蹴りで蹴り破った。
普通にのせないと思うのだが、感覚がずれているのは確かだろう。
一撃でバリバリになったドアを剥がして、慌てたように入り口にやってきたスキンヘッドの男のアタマをぐっと掴んでほおり投げた。
転がる男は体勢を直して、置いてあるいすを掲げて、
「何だ、貴様!!!」
ハセガワ兄の背後から振り下ろそうとするが、イケメン王子はすばやく男の脚に脚をひっかけて蹴り倒す。
「やべえ、ハセガワじゃん」
口や耳にじゃらじゃらとピアスをしている男がちょっと驚いたようにハセガワ兄を指差す。
金髪の男はセイハの脚を開いて、どうやら指を突っ込んでいるらしい。
俺はたまらず飛び出そうとしたが、イケメン王子にぐっと引き戻される。
ここで飛び出したところで、荷物になるのはわかっている。
分かっていたが、胸が締め付けられる。
「ハセガワ、今俺らオマエの相手をする暇ないんで。可愛い子とお遊び予定なんだよ」
金髪の男は西覇の体を蹂躙するように腕を回して見せ付けるように、ハセガワ兄へ手を横に振った。
「……可愛い子って、そいつ?」
ぐったりと腹から血を流している西覇の体を開いて指で悪戯をする様を、ハセガワ兄は眉を寄せて眺め降ろす。
「そうそう、ハセガワには無関係でしょ」
頬にちゅっと唇を押し付ける男が心底憎かった。
大体、西覇のアナルに指を突っ込みやがって。
「関係?大アリだなァ。そいつァ、俺の可愛い弟だ」
ハセガワ兄は、金髪の男をぶん殴り西覇の体を奪い取るとナイフに触れないように担ぎ上げる。
「オトウト?似てない兄弟で…」
金髪は立ち上がり奪い返そうと拳を掲げるが、軽くいなされ回し蹴りで床に沈められる。
「かーちゃん似なんだよ、弟は」
ハセガワ兄はぐりぐりと床の上の金髪を脚で踏みつけ、二人残っているピアスの男とロン毛の男を見やり、舌先で唇を舐める。
「どーする?向かってくるなら、ぶっ殺すけど?」
二人は顔を見合わせ、ひいいっと声をあげて廃屋を出て行く。
本当にあっけない。
「セイハ、帰るぞ」
ナイフが刺さったままの西覇は、うつらうつらとした様子で兄を見やりほっと吐息をもらして呟く。
「……アニキ……」
「バージンは無事?」
「……まだ…なんとか」
困ったような表情を浮かべる西覇に、ハセガワ兄はぽんと頭を撫でてやっている。
なんだかんだいっても兄弟なのだ。
かないそうもないし、入っていけない。
何も出来ない自分の弱さを痛感させられた。
「つか、ナイフやべえね。ヤス、セイハを病院つれてってやって」
抱えていた西覇をイケメン王子に手渡す。
「理由どーすんの?」
「通り魔でいいでしょ」
「警察いくの?」
「セイハがそこはなんとかしろ」
傍若無人にそういうと、ハセガワ兄は俺のほうに近寄ってくる。
「俺らはこれが普通なんだ。怖くなったか?」
西覇をバイクに乗せて、イケメン王子はエンジンをかけて一度俺を振り返る。
守ることも、一緒に戦うこともできなかった。
あのイケメンは、さも普通のことのようにハセガワ兄へ向かってくる攻撃への攻撃サポートをしていた。
そんなことすらも俺にはできない……。
「西覇に信じろと…言われました。でも……俺は……西覇がもう傷つくなんていやだ」
ハセガワ兄は俺の頭をぽんと叩いて、ふうっと息をついた。
「自分がこーしてえって思ったら、ヤリ抜くのが男だ。オマエがどうしたいかが一番だ」
ぼそっと漏らした言葉に、俺は拳を握り締めた。
最初から俺のせいだ。
俺がアイツを好きになって、俺が欲張りになったから、変なヤツに目をつけられた。
俺がいなければ……きっと、アイツはもう二度と傷つくことはない。
愛しているから、だからこそ……。
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