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入学前のオリエンテーション
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なんだか、緊張してる。
朝からソワソワして、大輔さんから笑われた。
『前に連れてったシャロンにおいで。今日は朝から覗きに行くから。』
『ありがとう!』
ネイルサロンとオイルマッサージのお店。
10時半の開店だけど、9時に待ってるって言われた。
オリエンテーションの開始時刻は10時だから、駅前のお店に寄ってからも じゅうぶん間に合う。
9時45分にお兄ちゃんと学校の前で待ち合わせした。
博物館まで5分の距離らしくて、
『ちょうどいい時間になるから。』
そう頼もしく言ってくれた。
ドキドキする胸を押さえて、お店の前に立った。
まだ暗い店内。
時間を確認すると、8時40分だった。
9時にって言われたから、まだ到着してないんだ。
ため息をついて、うなだれた。
「こら、早ぇぞ。」
コツンと頭を叩かれて慌てて振り向くと、俺の大好きな人が立っていた。
「大輔さんっ!」
ギュッと抱きつこうとしたら、額を押さえられた。
「待て。警備を解除すっから。」
「けいび?」
お店の裏に連れていかれて、大輔さんが何か裏口で機械を操作した。
ピピピ・・・警備を解除します。
ピピピ・・・警備を解除します。
女の人の声が流れて、静かになった。
「よし、入るぞ。」
「はい。」
なんだか、カッコイイ。
俺の知らない事をする大輔さんにときめいた。
お店の裏口から入ると、そこはロッカールームだった。
スタッフさんの休憩所なのか、女の人の匂いがこもっている。
ソファに大輔さんが座ったから、俺も横に座った。
肩を抱かれて引き寄せられる。
「緊張、してんの?」
「うん、してた。」
大輔さんに逢うまでは、ドキドキしてた。
でも、今は落ち着いた。
「大輔さんに逢ったら、緊張してたの無くなっちゃった。俺、大丈夫かも。」
「ふっ・・・頼もしいな。」
キスされて、もっと欲しくて膝の上に乗る。
ふたりの唾液が絡まって、興奮した。
「今日は午後からサロンに戻らないといけねぇんだけど、もう大丈夫かな?」
「うん、充電した。」
額を合わせて笑う。
「なんかあったらすぐに連絡しろよ?」
「うん。」
不安な時、頼れる人がいるって幸せ。
そして、その頼れる人が恋人って最高に幸せ。
時間を見ると、9時30分。
好きな人と一緒にいるとあっという間に時間が来ちゃう。
膝から降りようとしたら、裏口が空いた。
「あら、失礼。」
いつかの受付のお姉さんだった。
「よう、おはよう。」
「オーナー、おはようございます。朝からお熱いですね。」
慌てて降りようとしたら、逆に抱きしめられた。
「だだ、大輔さん!!」
「これ、俺の恋人。」
コロコロと笑われた。
「本命?」
「そ。光太郎、うちの店長だよ。」
恥ずかしいし、嬉しいし、忙しい!
抱きしめられたまま、あわあわしながら自己紹介した。
「財津光太郎ですっ、大輔さんがお世話になってまふっ」
「可愛い〜、オーナー、よかったですね。」
綺麗な受付のお姉さんは、ここの店長さんで高坂(こうさか)と名乗った。
なんとか膝の上から降ろしてもらって、時計を見ると待ち合わせまであと5分しか無かった。
「もぅ!遅刻しちゃう!!」
「ハハッ、車に気をつけろよ?」
「うんっ 行ってきます!!」
大人ふたりから見送られながら、お店を飛び出した。
もう!
もう!
でも、スタッフさんに本命って紹介してもらった!
遅刻寸前だけど、嬉しい!
嬉しい!
嬉しい!
幸せすぎて、走りながらニヤケちゃう。
胸は苦しくて仕方ないのに、このままどこまでも走っていけそうだ。
お兄ちゃんにも、今度紹介するんだ。
俺の大好きな人って。
恋人って紹介されるの、こんなに幸せな気持ちになるんだ!
「おはよう!」
お兄ちゃんが手を振ってくれた。
振り返しながら走り込む。
「ふふ、全力疾走したの?」
「んっ!」
息が上がって上手く話せない。
「ゆっくり歩いていこうね?」
相変わらず、優しいお兄ちゃん。
大輔さんにも今度、紹介するんだ。
俺の尊敬するお兄ちゃんなんだって。
ゼイゼイする背中をさすられながら、博物館へ移動する。
きっとたくさんの同級生となる人が集まってる。
お友だち、出来るかな。
仲良く、なれるかな。
「お兄ちゃん、俺、頑張る。」
「うん、お互い頑張ろうね。」
ふたりで並んで受付に立った。
もらった名札をつけて講堂へ入る。
ここから、俺の未来が始まるんだ!
ギュッと拳を握って、気合いを入れた。
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