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新しい、いちにち。
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この日、職場は てんやワンワンの大騒ぎだった。
「ちょっと、これ運んで!」
「はい!」
アルバイトのホールの人から命令されて、おれはバタバタとクロスを持って走った。
今日は、入社式をここで開催される企業様や、入学式を別の会場で行ってから、懇親会をされる専門学校様が入っていて、会場設営を手伝ってくれと先輩から言われて入った瞬間、命令された。
あ!どこに持っていくか聞いてない!!
慌てて引き返すとめちゃくちゃ怒られた。
ひぇええ。
怖い・・・。
社員さんより、アルバイトさんのほうが怖いでふ。
でも、誰よりもキビキビ動いて、なんかカッコイイ人だ。
おれもあんな感じになりたいなぁ。
そう思いながら椅子を運んで、設置していく。
3脚重ねて運んでは並べて、運んでは並べて。
途中でよろりとしたら、アルバイトの人が後ろから支えてくれた。
「無理はしなくていいです。この椅子は重いから、指を挟まないようにして下さい。」
「はい!」
他のスタッフさんがマイクのテストをして、看板をステージに垂らして、お客様にチェックをしてもらって。
一連の流れを見て、おれもやってみたいなって思った。
お客様のお客様たちがお揃いになるのは、まだ先らしく、一旦休憩の時間になった。
バックヤードに下がって、お水を飲んだ。
「研修生さん。」
振り返ると、あのアルバイトのお兄さん。
「はい!」
元気よく挨拶すると、シーッと静かにするように言われた。
そうだった、お客様いらっしゃるんだった。
「ごめんなさい。」
「いえ。正社員さんなんだから、おれに敬語は要らないですよ。」
アルバイトのお兄さんは、桑原さんというお名前で、大学3年生なのだそうだ。
ここのアルバイトも3年目なんだそうで、結婚式や宴会、パーティーの給仕をメインで働いているという。
「3年たったら、おれも桑原さんみたいになれますか?」
そういうと笑われた。
「給仕をするのはアルバイトでも出来るけど、宴会の営業とか、そういうのは社員さんの仕事だから、きっとそういうのやるように言われるんじゃないですか?」
「ええ!!おれ、馬鹿だから無理だ。」
吹き出された。
「松岡さん、面白いね。たぶん、ホテルのことを知らないと営業しろとは言われないはずだから、まだまだ先の事ですよ。」
「良かった。とにかく英語覚えなくちゃなんなくて。」
「あぁ、必須だもんな。」
仕事でもだけど、エドワード様に好きって気持ちを英語で伝えたい。
「入社式はあったの?」
「うん、10分で終わっちゃった。」
今日は忙しいから。
入社式というか、偉い人のスピーチを先輩と一緒に聞いてサクッと終わって、ここに入った。
「研修はいつまで?」
「9月まで。英語をそれまでに何とかしなきゃって思いながら、本開いたら寝ちゃうの。」
エドワード様と英語でお話する想像をしながら、寝落ち。
耳にはイヤフォンしたままで寝ちゃうから、たぶん、きっと睡眠学習出来てるはず。
そんなことを話しながら、休憩時間が終わった。
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