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夜明けの空。
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シンサクは元気だろうか。
杉さんから定例報告を受けた。
『トンプソンさんに宛てた想いを歌にしてくれました。』
ん?
「音楽ノ授業カイ?」
『・・・いえ、和歌です。』
ああ、日本の素晴らしい文化だ。
シンガポールの日本人会の中にも俳句のサークルがある。
「本人カラ聞クノガ楽シミダ。」
そう言うと杉さんは黙り込んだ。
『何カ問題デモ?』
「いえ、きっと当日にはもっと仕上げて行くでしょうから、楽しみにされておかれてください。」
電話を切ってそのまま授業料を振り込んだ。
次いで、シンサクにメッセージを送った。
『ワタシノタメニ歌ヲ詠ンデクレタト聞イタヨ。聞クノガ楽シミダ。』
すると元気いっぱいの返事が返ってきた。
『はい!いっぱいいっぱい練習して、披露しますね!』
シンサクが短冊に筆ペンでサラサラ書き、姿勢良く和歌を詠む姿が浮かんだ。
着物を用意したら、すごく雰囲気が出るのではないだろうか。
『楽シミダ。気ヲツケテ帰リナサイ。』
『はい!』
エドワードは知らない。
短冊ではなく縦笛を準備し、和歌ではなく、アメイジング・グレイス替歌を熱唱する未来があることに気付いていなかった。
そう、そんな未来もカウントダウンが始まっている。
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