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初めての挑戦。
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「ン?一緒ニマワラナイノカ?」
ふるふると頭を振った。
「お仕事の邪魔しちゃいけないから、待ってます。」
そう言うとエドワード様は笑顔になった。
頭を撫でると、こっそり耳元で言われた。
あとでご褒美あげるって。
ふふ、嬉しい。
皆さんお仕事で出ていかれた。
フジサワさんもお辞儀をして出ていかれそうになったので、聞いてみた。
「あの、フリーWi-Fiのところって近くにありませんか?家族に到着したことを連絡したくて。」
「あぁ・・・ビルを出ないといけないので、ここから電話をされたら如何でしょうか?」
エドワード様の机に乗っている電話を指さされた。
「えっと、ご迷惑じゃないですか?」
「それくらいで潰れませんよ。日本への電話の掛け方は分かりますか?」
頭を振った。
そもそも電話をすることは想定していない。
メッセージを送ればいいかなって単純に思っていたからだ。
フジサワさんは苦笑いすると、メモ用紙にさらさらと字を書いて渡してくれた。
「001+81+ 頭の0を取った日本の電話番号でかけることが出来ますよ。」
「えっと・・・。」
硬直したおれに、さらに説明してくれた。
03-1234-5678に掛けたいなら0018131234567と押せば良いらしい。携帯であれば、090-1234-5678の0を取るのだそうだ。
「やってみます。」
「ええ、どうぞ。となりにおりますので、何かあれば声を掛けてください。」
フジサワさんて、エドワード様の秘書なのかな。
おれ、エドワード様のお仕事をお手伝いすることって出来るのかな・・・。
「あ、あの!」
「はい。」
「エドワードとは、英語で話すことが多いんですか?」
「ほかの現地社員がいるまえでは、常に英語ですね。何を話しているのか分からない状態は、不和が生まれます。ふたりきりのときは、日本語だったり英語だったり適当ですよ。」
そうなのか・・・。
やっぱり英会話スクールに通わないと。
「ただ、こっちの人は訛りが強いから聞き取りにくい場合もありますね。独特の言い回しもありますし。」
「どうやってお勉強されたんですか?」
何を聞き出したいのだろう?
トオルは首を捻った。
「英語ですか?もともと好きで、大学の時に1年間カナダに留学しました。」
そっか、英語すきだったんだ・・・。
「松岡さんは、エドワードから習えばいいんじゃないですか?彼の言葉は訛りのないお手本のような発音ですから。」
エッチな英語しか習っていない。
エッチな英語じゃ、お仕事できない。
「お願いしてみます。」
お辞儀をして出て行った扉に向かって晋作もお辞儀した。
側にいれたら、英語のお勉強教えてもらえる。
でも、日本とシンガポールじゃ、なかなか教えてもらえない。
杉先生からお勉強を教えて貰っているけれど、英語の発音は彼から学べと言われている。
お母さんも、シンガポールに行くのは、英語のお勉強をしてから行きなさいと言った。
でも。
お勉強しながら働いたらダメなのかな?
やっぱり英語しゃべれないとお仕事出来ないのかな?
せっかくシンガポールに来たのに、なんだかちょっとだけ寂しくなった。
「お母さんに電話しよう・・・。」
フジサワさんに教えてもらった手順でプッシュする。
「・・・お母さん?おれ。シンガポールに無事に着いたよ。」
電話の向こうのお母さんの声は、とても優しかった。
「うん、エドワードの会社から電話してるの。・・・うん、伝えるね。」
ホッとした。
『せっかくなんだから、楽しんでらっしゃい。』
「うん、ありがとう。飛行機に乗る前に、Wi-Fiに繋げれたら連絡するね。」
『気にしなくていいわよ。迷子にならないように、しっかりと掲示板を見て動きなさいね。』
「うん。」
エドワード様がお仕事から帰ってきたら笑顔でお迎えしよう。
受話器を置いて、窓から外を眺めた。
シンガポールの空は美しい青空が広がって、すごく綺麗だ。
いつかここに住むために、頑張ります!
せめて聞き取りが出来ないといけないもん。
日本に帰ったら猛特訓しよう。
晋作は拳を握りながら、心の中で誓った。
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