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急き立てる。
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楽しかった。
一日中、水族館で遊んだ。
こうやって誰かと遊ぶのは久しぶりだ。
大輔さん以外とお出掛けしていなかったことに、改めて気付いた。
「ね、大輔さん。」
「ん?」
倉庫兼事務所の机の上で、DMの宛名シールを貼りながら話しかけた。
「俺ね、学校の紹介パンフレットの表紙のモデル、応募してみることにしたんだ。」
おや。
山下は内心首を傾げた。
光太郎は率先して応募するタイプではないからだ。
「へぇ。思い切ったな。」
「うん、思い切った。」
頭をひと撫でして、微笑んだ。
「どうして挑戦してみようと思った?」
「俺も、大輔さんみたいに一歩踏み出そうと思ったんだ。」
片眉を上げた。
「一緒に名古屋に行ったよね。お母さんとの事、大輔さん頑張ってた。・・・俺の為に、一緒に実家に行ってくれたりもして、なんかね、ダメだと思ったんだ。」
そう、このままじゃいけないって思った。
大輔さんは、俺へお手本を示してくれた。
ぶつからないといけないって、逃げてばかりじゃダメって教えくれた。
あれからずっと、実家にいる、父さん、母さん、大吾のことが頭から離れなかった。
でも、勇気がなくて、何も出来ていない。
お母さんとの事だって、会えたらいいなって思いながら、自分では何もしていなかった。
もう、動かないといけない。
このままじゃ、ダメだと思った。
美湖ちゃんが笑う姿が、大吾に重なって、そして自分に重なった。
あの時の家族はバラバラになったけど、今の俺は不幸ではない。
ううん、大好きな人と一緒にいれて幸せいっぱいだ。
だから。
「まず一歩目が、学校のパンフレット。二歩目が、」
ごくんと唾を飲み込んだ。
「二歩目が、明日、実家に遊びに行ってくる。」
そう、決めた。
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