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節分Night 山下編
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ねえ、知ってた?
今日って節分なの。
弟の大吾のために、昼間は俺が鬼役になって遊んできた。
今日は日曜日だから、大輔さんに逢えない日。
でも、逢いたいな。
両親には、遅くなるって言ってきた。
大豆まめを持って、大輔さんのお部屋に行く。
やっぱりお家には帰ってなくて。
手作りのお面と大豆まめをテーブルに置いて、帰ってきた。
お手紙を添えて。
『鬼は外、福はうち。明日逢えるの楽しみにしてるね。』
仕事から帰ってきて驚いた。
テーブルに置かれた福豆と可愛い鬼の面。
光太郎の仕業に笑みがこぼれた。
大人生活が20年を超えると節分は忘れてしまう。
クリスマスやハロウィンなんかは商売柄飾り付けをするけれど、サロンで節分の飾り付けはしない。
そうか、弟がいるって言ってたな。
幼稚園児の弟を喜ばせるために作ったんだろう。
きっとここでも節分したかったんだな。
大豆をひとつ手に取り、コツンと面へ弾いて落とした。
「鬼は外。福は・・・。」
光太郎は俺のモノ。
冷蔵庫からビールを取り出してプルタブを開けた。
たまには無味の大豆もいいかもな。
ボリボリと噛み砕く。
食感が癖になりそうだった。
ふ。
全部食ってたら、泣くだろうな。
仕方ない、明日は鬼になってやるか。
『明日は朝からおいで。ここで勉強したらいい。』
メッセージを打つとすぐに返事が返ってきた。
ピロン。
『うん!1日遅れの節分しよ?』
『ご利益あるのかな?』
『あると思うよ!俺、鬼になるの得意!』
ブハッ!
言ったな?
裸にひん剥いて、胸の豆を食ってやる。
『じゃあ、待ってるよ。』
『うん!』
可愛い鬼さんは、外に出せないな。
クツクツと笑いながら、ビールを煽った。
カレンダーでは今日が節分。
だが、俺たちは明日が節分だ。
鬼も、福も、光太郎も、全部全部、離さない。
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2019年2月3日 節分Night
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