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門出
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今日のお天気は晴れ!
いよいよ、大輔さんのお家に引っ越す。
当面必要な荷物は全て準備した。
大輔さんが車で迎えに来てくれて、最後の荷物を積み入れた。
「山下さん、よろしくお願いします。」
「いえ、ご子息を大切にお預かりいたします。」
大人同士で頭を下げあっているのをボォッと見ていると、大輔さんから頭を叩かれた。
「ってッ!」
「ばーか、ちゃんとお父さんにお礼を言え。」
涙目になりながら頭を下げた。
「あ、ありがとう。」
「フハッ。・・・光太郎、わたしもそうやって接すれば良かったんだな。」
お父さんが寂しそうに呟いた。
「え?」
「何でもないよ。光太郎、山下さんにお礼を言いなさい。」
「あ、ありがとう。」
ふたりからお礼を言わされて、なんだか不思議だった。
「では、そろそろ。」
「はい。おーい、出発するぞ。」
家の奥から大吾と母親が出てきた。
「光太郎さん、元気でね。」
「にいちゃ?」
大吾が足に掴まってきた。
しゃがんで目を合わせた。
「大吾、にいちゃんな、今日からお家を出るんだ。お父さんとお母さんをよろしくな?」
「・・・おでかけ?」
「うん。長いおでかけ。しばらく帰ってこないよ。」
異変に気付いたのか、目に涙が溜まってきた。
「だいごもいく!!」
「今度な?」
「イヤーッ!!だいごもいく!!だいごもいく!!」
駄々をこね出した大吾を抱きしめてから、お父さんに返した。
「やー!!にいちゃ!にいちゃ!」
必死で手を伸ばす小さな手を握って、頭を撫でた。
「今度、お外で遊ぼう?約束する。」
「ひっく・・・ひっく。・・・やくそく?」
「うん、約束。」
涙で濡れた頬を優しく包んで、約束した。
「じゃあ、いってきます。」
「いってらっしゃい。」
こうして俺は大輔さんの車に乗って、家を後にした。
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