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抱き締められて眠る。
その温かな体温が心地良くて。
光太郎はゆっくりと眠りに落ちていった。
すやすやと腕の中で寝息を立てる光太郎を見ながら、山下はため息を堪えた。
結局、話してくれなかった。
そして、こうやって擦り寄って寝てくれる。
急にどうしたんだろう。
月曜は普通だった。
火曜も・・・いや、火曜は体調が戻っていなくて寝せたんだった。
体調戻ってないのに、そういや掃除をしていたな・・・。
拭き掃除。
扉についていた埃を拭って綺麗にしてくれた。
あの中にあるものを見たんだろうか?
たいしたものは置いていなかったはず。
爪切りやハンドクリームなどの細かな手入れ用品。
頭痛薬などの薬品。
文房具類に、昔の手紙。
年賀状。
家電の保証書や取扱説明書。
あ・・・。
存在を忘れていた、小夜の名刺入れ。
小夜を手に入れようと、小夜のスーツのポケットから抜いた名刺入れ。
そのまま返せず、捨てることもできずに引出しにしまっていた。
だが、他人の名刺が大量にあるからといって、よそよそしくなるだろうか。
正直、忘れていた。
だって今の俺は、光太郎だけしか見ていないから。
だけれども、光太郎が引出しの中身を見て元気がなくなるような原因は、それ以外無かった。
明日、確かめてみるか。
そう思いながら、甘い香りのする首元に頬を寄せて、ゆっくりと目を閉じたのだった。
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