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恐怖からの幸せ 光太郎編
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俺に黙って、大輔さんが車を買った。
俺はあの古びた軽自動車が好きだったのに。
先進的な技術の乗った自動車は、人対車、物対車なら有効だとおもう。
でも!
でもだよ?!
「ゾンビから襲われたら、轢いて逃げなきゃいけないでしょ!回避されて車が停まったらゾンビから襲われちゃうよっっ」
だから言ったのに。
だから、危ないよって言ったのに。
結局俺の知らないところで、大輔さんは契約していたらしい。
ピカピカの新車がドデンと駐車場に停まっていた。
「バカ〜ッ!ゾンビに襲われても知らないんだからッ!」
泣く。
俺、泣いちゃう。
ぐすぐす鼻を鳴らしていたら、ポーンと助手席に放り込まれた。
「ばーか、どんな車に乗ろうとも お前だけは守ってやるよ。」
嬉しいかも。
大輔さんなら、ゾンビにも負けなさそうだ。
ふふ、武器はハサミかな?
そういうと怒られた。
「お前、美容師のハサミが幾らするのか知ってるか?俺が今使ってるのは30万だぜ?そうだな・・・武器はもっと確実に仕留められそうなのを考えとくよ。」
そういうとエンジンをかけられた。
「シートベルト締めろ、初ドライブ行くぞ!」
「やったー!」
ぐんぐん流れていく景色。
新しい車のシートはふかふかだ。
楽しい!
楽しい!
「途中、ソフトクリーム食べたい!」
「お前絶対、こぼすだろ?」
「こぼさないもーん。」
ドライブなんて、いつ以来だろう?
すごくワクワクした。
後でお礼に・・・ちゅーとかしちゃおうかな。
ふふ、楽しみだ。
「ね、どこいくの?」
「自由気ままに行こうぜ。」
「うん!」
目的地、無し!
気分のままに右へ左へ!
「ね、食料は備蓄しとこうね!」
「ま、多少はな?」
有事のときは、光太郎の専門学校まで這ってでも辿り着く。
「お前は、とにかく待っててくれ。」
「わかった!」
彼とふたりで未来のことを話し合う。
「だーいすき!」
「俺もだよ。」
片手でクシャッと頭を撫でられた。
ふふ、幸せ。
お天気は晴れ。
青空が広がって、すごく気持ちがいい。
力強く走っていく車は、大輔さんみたい。
ちょっとずつ、彼のことを知っていく毎日。
幸せだなって思う。
ね、好きだよ。
俺のことを教えるから、大輔さんもたくさん教えてね。
知らないことがないくらいの仲になりたい。
いつになったらなれるのかな。
早くそんな関係になりたい。
「気持ちいいね!」
「おう。」
連れてこられたのはディズニーランド。
ええ?!
「ほら、遊びに行くぞ!」
「うん!」
やっぱりやっぱり、だーいすき!
家族と遊びに行けなかったディズニーランド。
今日は恋人と行けた。
悲しい記憶が楽しい記憶に塗り替わる。
ディズニーランドって聞くと悲しい気持ちになっていたけど、今日からはきっと違う!
「ソフトクリーム食うんだろ?」
「食べるっ!」
広い駐車場。
エントランスまでは もうちょっと。
ふたりの思い出になるディズニーランドまで、もう少し。
「大輔さん、ありがとう!」
腕に掴まってお礼を言うと、片眉あげて笑われた。
手を繋いで駆け出す。
流れていく風が気持ちいい。
俺、幸せです。
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