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新しい、いちにち。
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ふふ、びっくりした。
まさか、晋作くんが働いているとは思わなかった。
「お疲れ様。アルバイトなの?」
「杉さぁんっ。」
握られた手を握り返した。
「おれ、ここで働いてるの。」
「あ、就職したんだね。」
「うん!」
優しい、ぽわっとした杉さんに癒された。
一気に力が抜けた。
「就職、おめでとう。ほんとだ、研修生ってしてある。」
胸のプレートを見て、更に優しく笑ってくれた。
「頑張ってね。」
「はい!」
杉さん、すき。
「光太郎くんもいるんだよ。いまね、ごはん取りに行ってるの。」
指差された方向に、財津の背中が見えた。
なんか、知ってる人がいるってわかって肩の力が抜けた。
「おれ、頑張ります!」
「うん、ファイト!」
背中を押された感覚。
よし、頑張るのだ!
トレイをしっかり持って、お皿を運んでいく。
今できるおれの仕事!
「松岡くん、スープ皿を追加してきて。戻ってくるときに、スプーンが足りてるか見てきて。」
「はい!」
今日、いっぱい勉強した。
行きと帰り、目的を持って行ったら、何か持って帰る!
手ぶらで戻ってこない。
それから、お客様のことを覚える!
お荷物を運んだり、タクシー呼んだりする仕事も好きだけど、今日のお仕事も好きかも。
ホテルって、いっぱい仕事がある。
いっぱい覚えて、いっぱい勉強して。
てんやワンワンな日もあるかもだけど、頑張ってって応援してくれるお友だちもいる。
だから、頑張れる!
「桑原さん、スプーンありました!でも、デザートのところのフォークがあと少しです。」
そういうと桑原さんが笑ってくれた。
「デザート用のフォークは、ここに置いてあってね、スプーンはこっち。このスプーンは、ティースプーンだから間違えないようにね。」
「はい!」
覚えた。
また、おれのレベルが上がった。
楽しい!
おれ、頑張れるかも。
エドワード様に後で報告しよう。
今日、てんやワンワンだったけど、頑張れましたって。
そして、いっぱい褒めてもらおう。
晋作は新しいフォークを籠に入れて、また会場へと向かったのだった。
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