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からあげKARAOKE
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「おれ、歌の勉強をしているんです!」
松岡くんは、きらきらと目を輝かせて俺を見つめた。
「絶対、上手になって、」
「デビューするんだよね!」
晋作に被せるように光太郎が言った。
「え?」
「え?」
ガキコンビが顔を見合わせた。
「デビューするの?」
「え、しないの?」
「「ええー?!」」
ガキふたりは、互いを指差して仰け反った。
それを見たアルバイトは、肩を竦めてから立ち上がった。
「ごちそうさまでした。」
「ん、流しに置いてて。」
「はい。ありがとうございます。」
余計なことは話さない彼は、実は客商売に向いていると思う。
ここではなく、信頼を売る高級家具店や、金持ちを相手にした百貨店の外商なんかになれば、トップになれそうな予感がするのだ。
大学三年、将来のことを考える時期。
彼がどこを目指して就職活動をするのか、律は興味深々だった。
「えぇー?!俺、ピアノ弾くんだよね?!」
対して、この子たちは夢いっぱいだ。
アイドルとか、そういうのに憧れているんだと思う。
「ほら、良いから食え。遅くなるぞ?」
デビューする、しないを話している彼らに苦笑しながら、律は続きを食べるよう促したのだった。
------------※ ※ ※------------
「はあ?!もぐらに行っただと?」
山下は こめかみの血管がヒクヒクと動くのが分かった。
「うん、失敗だったけど。」
100年早い。
「未成年のくせに、何をしに行ったんだ?!」
カラオケで遊んできたはずの光太郎は、バックヤードで在庫確認している山下の元へ戻ってから、先程の話をした。
「えっと、もぐらさんの解放。」
だめだ、これ。
「あとね、歌も歌ってきた。」
山下は、その念のために確認してみた。
「カラオケで?」
「ううん、もぐらさんで。」
・・・。
うちのバカがすみません。
山下は、ダーツバーもぐらのスタッフの皆さんに、心の底から謝った。
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