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助け
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主役がいなくなったことに周りも興味を無くしたのか、周りはまたスクリーンに視線を戻しました。
嵐のように去っていったチャラ男先輩でしたが、
僕は恐怖心が遅れてどんどんやってきました。
ですが、透くんにまた迷惑をかけるわけにもいかないので、僕は震える自分を自分で抱きしめて耐えようとしました。
チャラ男先輩が変なことになったから良かったものの、もし何も起きてなかったら…?もしあのまま続けられていたら…?
僕はそう考えると、さらに震えが止まらなくなり、泣きそうになってきてしまいました。
もう映画に集中できそうにありません。
理由をつけて映画館から出ようかとも考え始めたその時、
誰もいなくなった左側の座席へ、跨ぐように後ろからニュッと足が出てきました。
僕「………っ!?!?」
な、なにっ!?足っ…!ゆ、幽霊っ…!?
普段ならありえないその光景に、
僕はビクッーと左側を向いたまま硬直してしまいました。
すると、足だけでなく、全身が前へとやってきて、僕の左側の座席に座りました。
そこにきて、漸く足の持ち主がわかりました。
僕「…………ふぇ…?萩野………せんぱ…?」
なんと、足の持ち主は萩野先輩だったのです…!
萩野先輩は僕の方を見ながら、人差し指を口に持っていき、しーっと言いました。
その仕草が様になりすぎていて、僕はポーッとしてしまいました。
何故こんなところに萩野先輩が後ろからやってきたのか、僕はある可能性を考えました。
もしかして、萩野先輩がチャラ男先輩を………?
すると、それを証拠付けるかのように、萩野先輩が僕の頭をポンポンと慰め始めてくれました。
僕「………ふぇっ……….」
僕は自分でも気づかないくらいまだ震えていたようで、萩野先輩が助けてくれたことにようやく安心し、涙がぶわっと出てきてしまいました。
その涙に対しても萩野先輩は一粒一粒指で拭ってくれて、萩野先輩の優しさに震えがやっと収まり始めました。
痴漢の時も今も、助けてくれるのはいつも萩野先輩だなぁと、ふと思いました。
そう思うと僕の心はすっかりポカポカになりました。
それから萩野先輩は、上映中ずっと僕の手をぎゅっと握ってくれていました。
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