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逡巡
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「気持ちは伝えたいですっ……!」
などと昨日意気込んではいましたが………
一晩経って落ち着くと、僕の勇気は萎れていました……。
ど、どうしよう……、昨日あんなに意気込んだのに……っ、や、やっぱりこのままの関係がいいよぉ………っ
しかし現実は悲しいもので、今日の朝は萩野先輩と活動をする日なのです………。
僕「ど、どうしよう……っ、僕普通じゃいられないよ………」
僕は家を出て、いつものように電車に乗り、ずっーと考えていました。
目的の駅に着き降りると、僕は学校に向かって歩きました。
その間もずっとウンウン考えていました。
…………いつ気持ちを伝えるべきなんだろう……
いつ伝えてもどうせ叶わないんだけど………
せめてもう少し思い出を作ってからでもいいのかなぁ…………
………うん、そうしようかな……。
そうしたら叶わなくても思い出を糧に生きていけるかも………
うーーーー……。でもそれだと重いなぁ……僕。
萩野「……はる。おはよ」
僕「……っ、ぴぁや……っ!」
僕がウンウン唸りながら歩いていると、後ろから急に萩野先輩から声をかけられました。
………うぅ……っ、き、気まずいっ
萩野「ふふ、なにその声。そんな驚いた?」
僕「……お、おは、……おはようございます」
萩野先輩の笑顔に僕の胸はキュゥゥゥンとなりました。
僕ってなんて単純なのでしょう……
僕の挨拶はどんどん尻すぼみになってしまいました。
うぅ、自覚した途端にこれか………!
僕の心臓もつかわかんないよっ………
萩野「どうしたの、なんか悩んでるみたいだったけど?」
僕「……いや、今日の数学当たる日だったかなって………」
萩野「ふふ、そんなことで悩んでたんだ。」
……うぅ、こんな些細な嘘を萩野先輩につくなんて胸がチクチクしました。
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僕と萩野先輩はあのまま温室に行きました。
萩野先輩がお水をやって、僕は少し生えてきた雑草をプチプチと抜いていました。
萩野「………あ、そういえば。春、携帯持ってる?」
僕「……?持ってますよ?」
萩野「貸して?」
僕「……?はい。」
僕が持っていると答えると、萩野先輩は僕の携帯を受け取り、携帯を操作し始めました。
僕「………?」
萩野「……はい。そういえば、連絡先知らなかったなって思って」
操作が終了したかと思うと、僕に携帯を返してきました。
返された携帯を見るとそこには、連絡先に萩野先輩の名前が追加されていました。
僕「………っ」
僕はそれを見た瞬間、泣きそうになってしまい、眉にギュッと力がこもってしまいました。
………こんな、残るものを………
震える指先で萩野先輩の名をなぞります。
萩野「……ごめん、嫌だった……?」
僕の反応を見た萩野は心配そうに僕を見ています。
僕「ちが……っ、う、嬉しいです……っ」
僕はほとんど泣き笑いで萩野先輩に答えました。
萩野「……ふふ、泣くほど……?」
萩野先輩は綺麗な笑みを浮かべ、とても嬉しそうでした。
先輩は仲のいい後輩のようにしか思っていないのでしょう……
そんな後輩から告白されるなんて先輩はどう思うのでしょうか…?
僕「………はい……っ、」
この連絡先も振られたら消さなきゃいけないなんて、泣くほど悲しいです。先輩………っ。
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