アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
不穏
-
世間に堂々と顔向けできるお付き合いはしていないわけで、何かと障壁があるとはわかっていたけれど、こんなに早く来るとは思ってもいませんでした。
「君さぁ、萩野くんの周りちょこまかとさぁーー、はっきり言ってウザいんだよね」
なんて弱い僕のメンタルに傷をつけるくらいには悲しい言葉を、数人の女の人に囲まれて言われたら…………耐えられそうにありません。
_____________________________________
僕はいつものように朝の温室の活動をし終えて、中庭へと出てこようとした時のことでした。
いつだか僕のクラスに来た女の先輩がまた数人の女の人を侍らせて僕の前に立ちはだかったのです。
「ねぇ、星野くんだよね。今ちょっといいかな」
生憎今日は犀夜さんのお手伝いの日ではなかったため、僕1人だけでした。
僕「…………はい…」
その女の先輩の表情や威圧感的に、決していいお話ではなさそうです。
なんとなく話の内容は分からなくもないので、僕は素直に従いました。
僕は女の先輩について行き、裏庭の校舎へと回り込んで、冒頭に戻ります。
____________________________________
僕「………………っ」
普段との違いにびっくりしながら、僕は言葉を受け止めていました。
…………やっぱり…………
この女の先輩は犀夜さんのこと好きなんだ………だから近くにいる僕が邪魔なんだよね………
息を詰め、顔をうつ向けた僕に女の先輩はさらに続けました。
「ちょっと可愛い顔してるからってさぁ、調子乗ってんじゃないの……?」
「やだー、理沙言い過ぎぃ」なんて声が笑い声とともに聞こえてきます。
「ねぇ、なんか言えよ。離れてって言ってんのーーー」
続けてキャハハと、女子特有の高い笑い声も聞こえてきました。
僕「…………やです………」
僕が小さく声を発すると、周りの声はピタッと止みました。
「………あ……?」
僕「……僕は…っ、萩野先輩と離れるつもりはありませんっ」
僕は顔を上げ、強い意志を持って女の先輩を見つめました。
本当はすごくすっごく怖くて、今にも涙が出てきそうだったけど、これだけは譲れませんでした。
「………きもっ。男のくせに気持ち悪いんだよ」
そんな僕に対して、また女の先輩は僕の心を抉ってきます。
ツキン………ツキン……
痛い………、痛いよ……
僕は痛みを和らげるようにはぁーと静かに息を吐き出すと、もう一度言葉を発しました。
僕「……それでも嫌ですっ」
僕の動じない姿にイラついたのか、女の先輩は僕の肩をドンっと押してきました。
僕「…………いた……っ」
「まじでキモい…………。お前みたいなやつのせいで萩野くんにまで迷惑かかるって言ってんの」
「だいたいさ、萩野くんがウザがってるってわかんないわけ?」
そこまで女の先輩がヒートアップした時、周りの女の人たちが「ちょっとぉ、それ以上は不味いってぇ」と少し止めるような行為をしました。
それのおかげか、女の先輩の言葉は止まりました。
「はぁーーあ。……とにかく、これからは考えて行動してよ。あと、このこと萩野くんに言ったらぶっ潰すから」
そう女の先輩は舌打ちをして、もう一度僕の肩をドンっと押すと、昇降口の方へ向かって歩いて行きました。
マシンガンのような言葉の暴力に、僕の心はポタポタと血を流しました。
…………怖かった………………
僕「………はは。こんなに受け入れてもらえないんだ………」
僕はその場にしゃがみ込み、しばらく動くことができませんでした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
76 / 107