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安堵
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萩野「……………男?」
犀夜さんは思わずキョトンといったような顔をして立ち止まりました。
僕「はい」
僕はこれだけでもどうしても聞いておきたくて、犀夜さんの目をじっと見つめました。
見つめ合うこと数秒後、犀夜さんは寄っていた眉を緩め、ふっと吹き出しました。
………………ぅえ……?
萩野「……ふふっ、なんだ。そんなことで悩んでたんだ」
僕「……そ…!全然そんなことじゃありません……っ、僕っ、それでずっと悩んでて………、」
………本当はそれだけじゃないけど……
少なくとも犀夜さんに「そんなこと」と言われたことには軽くショックを受けました。
僕が小さく俯くと、頭の上にポンっと犀夜さんの手がおかれました。
萩野「ああ、ごめんね春。そんなことっていうのは春の気持ちを蔑ろにしてるわけじゃないよ」
頭をあげると、犀夜さんが困ったような、それでいて少し嬉しそうな表情をして僕を見ていました。
僕「………でも………うぅ…」
萩野「それより、春が真剣に悩んでる内容が俺の昔のことでこんなになってるって知って嬉しかったし、………また春のこと愛しく思っちゃった…」
犀夜さんはそう照れくさそうに言いました。
………………うぅ……、かっこいぃ……
萩野「……あと、昔の事だけど、男と付き合ったのは春が最初で最後だからね。………男に限らず女とも誰とも付き合うつもりないし、これから先春と別れるつもりも俺はない。………………もし春が別れるなんて言っても……、もう離してあげられないかも」
そう言いながらずっと犀夜さんは僕の頭を撫でていました。
僕「……………ぅーーー…、ぎゅーです…」
なんだか犀夜さんにひっつきたくなった僕は、近づいて犀夜さんの胸元に自分の頭を押し付けました。
僕「…………ぐりぐりぐりぐり………」
萩野「……ははっ、春。そんな可愛いことしてくれるのは嬉しいけどわかってる?今の軽いプロポーズのつもりなんだけど」
……………わかってます…ぅ…………、わかってるから、こうしてなんとか赤い顔を見られないように照れ隠しをしているんじゃないですか………っ、
萩野「…………春は?」
何がですか、なんて聞かなくても自分でもちろんわかっています。
ただ、その声がなんとも甘く優しいので顔を上げるのを躊躇してしまうのです。
萩野「……ねぇ、はーる」
犀夜さんの催促の声が聞こえてきます。
僕「……………僕は…っ、ずっと犀夜さんだけ…………です……」
それだけモゴモゴいうと、またポスッと犀夜さんの胸元に顔を埋めました。
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