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01‐01
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「えー嘘。ルウちゃんと席遠いじゃぁん…」
入学式が終わり、自分達の校舎へ。
教室前に貼り出されてる座席表を見て席が遠いだけで五月蝿いそいつ。若干しょげてんのは気のせいではない。
席が離れているのは別に誰かの陰謀とか、そういうのではなく当たり前なことだ。俺は『狼城』でお前は『魔咲』。マ行とラ行の間にどんだけあると思ってんだと言ってやりたい。
「…んあれ、ルウちゃん朝からメール?誰に送ってんの?」
愁はそういって俺が慣れない端末でポチポチと打っていたメールを横から覗きこんできた。
…覗き見防止フィルムを貼ってやろうか。否、嘘だけど。見られても構わないけど。ただ重たいから肩に体重掛けてくんな。打ちにくい。
「兄貴」
「出た!兄貴!」
誰だと聞かれたから素直に相手を教えたら、そんな反応。大袈裟だ。朝から家族にメールしていても別に編では無いだろうに。
「…ただ何時に帰ってこれそうか聞いただけだ」
「いやいやいや、普通毎日んなことメールで聞かねぇから。お前は嫁か」
内容を教えてやったら今度は先以上のオーバーリアクション。
毎日、そう毎日。確かに俺は毎日確認を取っているけれど驚かれることのようには思えない。ただ帰宅時間を聞くだけだ。それに、兄貴が帰ってくる時間で飯作る時間変わってくるんだから聞くのは至って普通だと思う。
…否それよりも。何で兄に嫁がねぇといけねぇんだ。
―嗚呼、でも。嫁か―
―嫁ぐ、嫁、妻、主婦……―
「…そうすれば食生活を徹底的に管理できるのか。良いかもな」
「え、良いのかよ」
「それで兄貴が倒れないんなら」
「…ひゅー、ルウちゃんさっすがブラコンだね」
「…んなんじゃねぇよ」
愁は俺がブラコン…兄貴が好き過ぎると笑うが、俺はそこまでではないと思ってる。
兄貴は食生活が良い加減な人で、俺が作らなかったらインスタントラーメンで3食済ますような人だ。その癖仕事で多忙だなんていつ倒れても大丈夫ですと言っているようなもの。だから一緒に暮らしてる俺が食生活位は管理してあげないと…だろ?
それに、兄貴はやっと手に入れた俺の唯一の家族なんだ。 そんな人を大切に思わない訳がないし、俺の行動は大して大袈裟なことではない。
…筈だ。
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