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01-02
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「俺さ、ルウちゃんの隣希望するからよけて。俺の席あげるから」
「ヒィ…?!」
入学式早々問題を起こす悪魔を逆に褒めたい。
自分が俺と離れてるからと俺の隣の席の奴に替われと迫る、強行突破に出た愁。そこまでして隣を確保しなくても良いだろうに。俺が隣じゃないとつまらないとか、知らない人に囲まれても萎えるとか、変な理由を並べて。
こいつ、少なからず頭は良い筈なのにこう言う所は馬鹿だと思う。初日位大人しく…とか思ってたけどそれは間違いだったらしい。そりゃあな、いつもよりは優しい方だと思うけれど。
「ルウちゃん、誰から"落とす"?」
無理矢理確保した俺の隣の席に座って、愁はニタァ、と楽しそうに笑った。
出た。悪魔の遊び。狙った奴を徹底的に精神的に潰して立ち直れなくさせていく、そんな遊び。優しい方だとか言ったけど前言撤回。いつも通りだ。
俺はその遊びをいつも見てるだけ。俺は精神的攻撃は分からないから、間に入っても邪魔だろうし。別にこいつが誰を"玩具"にしようと興味はない。無関心。だってどうせ、もう二度と俺等と関わることなんてないんだ。愁の好きにして構わない。まぁ、程々に、ではあるけれど。
誰がどうなろうと全く興味のないことで、だから俺は適当に返した。
「絡まれた順」
「…ヒュー、流石ルウちゃん。立場弁えてない馬鹿に立場を分らせるんだね~。オッケー、採用」
俺はそう言う意味で言ったんじゃあねぇけど、解釈がずれてしまった。て言うか、それだと俺凄ぇ酷い奴みたいじゃん。
…まぁ、良いか。立場を弁えてないにしろ何にしろ、辿り着く先は皆同じだ。それに、どうせまともな道から外れてしまったんだから、今更俺が酷い奴みたいに言ってんじゃねぇよとか反論してもなぁ、と思い文句を言うのを止めた。
「ルウちゃんは誰から"壊す"?やっぱ毎日充実してますーみたいな顔してる奴等?」
―"壊す"―
俺の喧嘩を愁は良くそう例える。愁曰、愁は"不幸を作る"なら、俺は"幸せを壊す"…らしい。
実際の所俺はそんな目的で喧嘩をしてたわけでも無く、ただ売られた喧嘩を買っただけだったり、むしゃくしゃしてたからしたりって言う、大した理由ではないもので。
ここに来る前、つまり中学の頃は日常的に喧嘩をしていた。だから「"誰から"壊す」…だなんて心機一転させてするようなものでもないと思うけれど。…でも、そうだなぁ。
「暫くしねぇ。しつこかったらするかもしんねぇけど」
「ええ…マジで?ストレス溜まるよ?」
「んー…そう言う気にならない」
「うそーん…」
喧嘩をしないと言えばしょんぼりと寂しそうにする愁。残念ながら嘘ではない。何で俺がお前に嘘吐かないといけないんだ。後は、入学したばっかだから大人しくしとこうかなぁってのもある、勿論。
「…お前のには付き合うから、それで良いだろ」
いつも通り、中学のころと同じように。行動と共にして、愁が獲物を見つけたら俺は傍観に回る。たまに喧嘩売られて、その時は2人でしていたけれど基本的にはそうで、俺はその間ただぼーっとしてるか携帯を弄る。愁に追い込まれて泣き崩れた奴は何度も見てきた。目の前でそんなことがあっても俺は不思議な位何とも思わなかった。人間として何か大事なものが欠落してると言われても否定できない自分がいる。
…嗚呼、でも1つだけ。何度も言うけれど入学したては程々にはしてくれくれよ、と言葉にはしなかったけれど愁にそう心の中で頼んだ。
だけど愁はたまにある方の"一緒に"やるって意味で俺が言ったと勘違いしたらしく、愁は本日何度目か忘れた悪魔そのものの顔で
「ルウちゃんと一緒にすんのは良いね。そいつくっそ惨めな顔するんだろうなァ…。物理的にも精神的にも。両方から追い込むなんてルウちゃんえげつなぁ」
…と笑った。流石にそれには溜息を吐いた後で「誰も参加するなんて言ってない」って意を込めて頭を軽く叩いて否定した。
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