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除夜の鐘を聞きながら…
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タケルはしばらく洗面所の鏡に映る自分を睨み付けていた。
あんな夢を見るなんて――
それが自分自身に軽いショックを与えていた。
欲求不満なのか――
(……クソッ)
心の中で一人毒づきながら、さらに自分を睨み続けるタケル。
ところが次の瞬間――
タケルはあるものに気づき、不意に顔をしかめた。
自分の首筋――
そこに小さな赤い痣のようなものが見て取れたからだ。
それを指でなぞってみる。
(まさかキスマークじゃないだろうな…!?)
タケルはどこか焦りのようなものを感じながら、何度も何度も指で痣をなぞる。
その時だった。
洗面所のドアが突然開き、高支那が顔を覗かせたのは――。
タケルは驚いたように振り返る。
「何してる?早く来い」
タケルの不自然なほどの慌てぶりなど素知らぬ涼しい顔で、淡々と告げる高支那。
タケルは微かに震える自分の身体を、一瞬強く抱きしめたのだった。
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