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甘く危険な初詣
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突然高支那から解放され、脱力したようにその場にズルズルとしゃがみ込むタケル。
それを淡々とした表情で上から見下ろしていた高支那は、
「お前はここで少し休んでから来い」
そうタケルに告げたかと思うと、実にあっさりと自分だけ元来た道を戻り始めたのだった。
タケルを散々煽るだけ煽っておいて、涼しい顔をして去って行く高支那の後ろ姿を睨みつけながら、タケルは一人毒づく。
「…くそっ。どうしろってんだよ」
身体の火照りを冷ますかのように大木に身を預け、タケルはぼんやり墓を見つめる。
こんな人の来ないような場所にありながら、墓は綺麗に掃除されており、花が立てられていた。
まだそんなに傷んでいないところを見ると、年末に誰かが来たのだろうか?
それとも高支那が――?
生まれ故郷なら高支那が来ていても何ら不思議ではない。
元旦から2泊した旅館が地元で馴染みの場所なら、深夜のチェックインも頷ける。融通が利くわけだ。
そんなことをタケルが考えていた時、ふとその耳に微かな妙な声が届く。
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