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甘く危険な初詣
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よく耳を澄ませてみると…
それはどうやら子供の声のように聞こえた。
タケルは慌てて立ち上がり、寺の方へと歩き出す。
無人寺に人の声がすることに驚きを感じながらも、段々とその声がはっきり聞こえ、タケルの足も自然と早くなる。
そして寺の本堂まで戻って来ると、そこに数人の人の姿を認め、タケルは目を見開いた。
どうやら無人寺ではあるが、僅かな村人が正月の参拝に来ているらしかった。
タケルが呆然としていると、いきなり元気な子供の声がすぐ近くで響く。
「お兄ちゃん、明けましておめでとう!!!」
見知らぬ少年が自分に向かって新年の挨拶をしてきたのだ。
タケルは一瞬戸惑ったが、真っ直ぐ自分を見つめる純真な少年を見下ろし、少し気まずそうにタケルも挨拶を返した。
少年の傍には身内だろうか、お婆さんがにこやかにタケルに向かって会釈する。
タケルは焦った。
まさか自分の喘ぐ声を聞かれはしなかったか――と。
高支那は人の気配を察知して戻ったのか――?
周りを見ても数人の子供と、お年寄りが一人。高支那の姿はどこにもない。
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