アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
捕らわれの身
-
それは障子戸を挟む、ある部屋の中から聞こえてきたようだった。
タケルは吹き曝しの風の寒さから身を守るように目の前の戸を開け中に入る。
そこは畳十畳ほどの広さの部屋だったが、どちらかといえばガランとしていて殺風景な感じだった。
真正面の壁際に年代物の家具が二つ並んでいるだけで、後はその家具に挟まれるようにして、古い木造りの引き戸があるだけ…。
どうやら物音はその引き戸の奥から聞こえてくるようだった。
まるで誰かが階段を降りているような音――
タケルは一瞬、使用人か誰かがいるのかと思ったが、何とも判断がつかない。
部屋の壁の真ん中に引き戸があるというのもバランス的におかしなもので、また、目の前の戸に僅かに隙間が出来ていて、そこから明かりが漏れているのも、タケルの好奇心を大いにそそった。
どうせ長谷部と高支那の話は長くなりそうだし、気分を変えるには調度良い時間潰しだと思ったタケルは、ソロリ…と引き戸を開けてみる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 340