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黒い影
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高支那が人を信用していないということは、以前からタケルには何となくわかっていた。
高支那に纏わり付く暗い翳り…
冷めた態度、表情、言葉…
生徒に対する有り得ないほどの非情さ…
どれをとっても納得がいく。
それに…
以前、高支那は自らをも死に追いやろうとしたことがあると自分で口にしたことがある。
それも全て両親の自殺に関係しているのか――
タケルが複雑に絡み合う記憶を辿り押し黙っていると、不意に横から手が伸びてきた。
缶コーヒーを持った長谷部の手だ。
「まあ飲めよ」
ご丁寧に缶のフタまで開けてくれていたため、仕方なく受け取るしかないタケルだった。
受け取ったそれは温かく、それこそ早く飲まなければすぐに冷めてしまうだろう。
タケルはまるで急かされるようにコーヒーを口にする。
それを横目に見ながら長谷部が思い出したように言う。
「そういえば、俺の弟のことなんだが…」
弟――という言葉に、ビクリと反応するタケル。
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