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孤独
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その呟きを聞いて
あぁ、この子は、孤独だったんだなって。
突然大切なものが目の前で奪われて。
きっといままでずっと不安だったんだろう。
「大丈夫。ひとりにしないよ。
ハルの家のことを聞いた時からずっと思ってた。なんでこんなに怯えるんだろうって。
それに、「ひとりにしない?」っていう問いかけの意味。やっと理解出来た。
その時はただ、傍に誰かにいて欲しいだけだと思った。でも違ったんだね。
全部理解した上で傍からも離れないし目の前から消えない、そういう意味での「ひとりにしない?」だったんだね。
ハルはトラウマなんだね。大事なものが目の前からいなくなることが。」
だからあんなに苦しそうに僕に問うてきたんだ。
「....そう....なんだ....きっと....。
そういうことだね....。ぼくは、ずっとそれが怖かったんだ。大事なものが目の前でなくなる。きっとあの日。
大切なもの....父さんと母さんが僕の目の前で僕を庇っていなくなってしまった日。
その日からずっとそうだったんだ....。
あの日から大切なものなんてなかった。
だから気付かなかっただけで。
きっとそうだったんだ....
ようやく分かった。
なんで真をみてると時折苦しいような感覚に襲われるのか。きっとなくすのが怖かったんだ。また僕のせいで大切なものをなくすのが。」
その一言でまたさらに零れ落ちる雫がふえる。
「なくならない。僕はハルの前から消えたりなんか決してしない。
だから、おねがい。泣かないで。
信用出来ないかもしれない。でもね。
こんなに大事だと思ったのもこんなに愛おしいと思ったのもいままで生きていてハルだけなんだ。
だから、そんなハルに嘘はつかない。
信じてなんて言えない。きっとハルは信じていてもこんな結末になってしまったんだと思うから。でもハルが手放しに僕を信用できるようになるまで何年でも何十年でも待つから。だから。
泣かないで。ハル。
僕が君から離れるなんてありえないんだから。そんなことで泣かないで。大丈夫だよ。」
「うぅ....ん....ほんと.....?」
「本当。」
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