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氏原side‥₂
「…おいてめー渡辺…病人は寝てろ…
元気なら課外戻れ…。」
「高木っちやべー!なんか見ちゃいけないもん見た気がして心臓どっくんどっくん言ってるわ!
うぅん、しゃーないな、狸寝入りしとくからウチの
事は気にせず続きオナシャスっ!!」
再びシャっと音を鳴らしてカーテンが閉まったが、
少し空いている隙間から目の周りを黒く囲った
異様にまつ毛の長い目玉がクリクリとこちらを見ていた。
ついでにスマホなんか向けちゃってる。
カメラか…いや、動画…?まぁ、どっちでもいっか。
「…はー。渡辺バレてんぞ」
「あ、あの子…高木先生のクラスの生徒…?」
「んー、そーそー。俺のクラスで一番うるさいの。」
そこで僕はピンときた。
以前、渡辺さんに聞いた話…あれは確か―。
「ふふ。そうなんですか…彼女最近はよく
保健室に来ていて、他に人がいないと
結構相談に乗っているんですよね」
「相談?」
カーテンが一際大きく揺れた。
うん、やっぱり予想通り。
「はい。なんでも、難しい恋愛をしているそうですよ?
…禁断の恋…まさか担任に…」
そこまで言うと全力疾走してきた渡辺さんに
口を押さえられた。
「氏原ちゃああんってば!!ウチ元気!もう元気だからさ!次の授業は受けるわ!つか次高木っちの授業だし!
ほらっいこーよはやく!!」
「…っち。」
腕を引かれ、渋々保健室をあとにする高木先生に
笑顔で手を振り、
彼には見えないように
渡辺さんに人差し指を口に当てて意地悪な顔を作って
シーッとジェスチャーしておいた。
渡辺さん…クラスも何も見てなくて気付かなかった。
担任に恋をするなんて少女漫画みたいで可愛くて
話を聞いてあげていたけど
相手が高木先生となれば別問題だよ。
引っ張られながらも僕の耳元で
”次終わったらまた来るから…人入れんなよ”
って囁いた高木先生にとびきりの笑顔で頷いた
半分は素直な感情で、もう半分はあの子に見せつけるため。
高木先生のいった言葉を聞き取れたかはわからないけど、僕らが笑いあった光景くらいは見ていたはず。
ははっ。嫌われるだろうな〜…
まあたかが女子生徒1人に
嫌われたところで僕にはなんの害もないけどね。
高木先生の事になると、すぐに大人気のない行為をしてしまう自分に呆れてしまう。
思わずこぼれた乾いた笑いが、静かになった保健室に響いた。
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