アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
103
-
9月。今日も天気は晴れ
強い日差しは窓を通り抜け、カーテンの隙間から
こちらに光を送り込む
…また、朝から声を出さなくてはならない
お決まりのこの時間も、1ヶ月以上も間があけば
新鮮さを取り戻す。
教師生活が始まり、初めての夏休みを終えた今日
俺は伸びをしながら重い足取りで階段を登った。
課題やら、テストやらの話題で持ちきりの
相変わらず騒がしい自分のクラスの扉に手をかけ
ガラッと一気に戸を引いた。
「あ!高木先生おはよー!」
「…おぉー…。」
「先生髪切った?」
「相変わらず眠そー!」
「ジャケット絶対暑いでしょー!」
待て、まてまて俺は聖徳太子じゃねえんだ。
扉を開けるやいなや耳に飛び込んでくるのは
生徒たちの俺を呼ぶ声
「うっせーなぁ頭に響くだろ…一人ずつ来いよ…」
後頭部をガシガシと掻きながら呟く。
俺が朝が弱いのもとっくにクラスには知れ渡っていて
だからこそ、イジメの如く朝の絡みが強いこいつら。
最初は慣れなかったけど…結構こういうのも嫌いじゃない
…別にMって訳じゃねーけど。
こうして少しずつでも生徒と打ち解けていける事は
教師としてはもちろん、一人の人間としても喜ばしい事だった
「…あーっと……9時から集会あるから遅れんなよ
体育祭の説明と身だしなみもチェックあるから、ボタンは締めていけよ。以上ー。」
必要なこと以外全く話さない俺に慣れた生徒たちは
必然的に俺が口を開けばサッと静まる
一瞬にして空気が変わるこれが好きだ
また賑やかさを取り戻すクラスをあとにすると
スリッパを引きずる音を楽しみながら、向かう場所は
決まっていた。
長い階段を1段、また1段と降りてゆき
ようやく辿り着いた1階。
職員室とは逆方向に足を踏み出し、すぱーんすぱーんって
わざと少し大き目に足音を立てたりして
すると音に気がついたその人物が、扉をあけて待っている
迷う事なく向かった先は―――。
「氏原せーんせ、おはよ。」
「おはようございます。高木先生」
差し込む光に栗色の髪の毛を艶めかせながら
長いまつ毛に見え隠れする色素の薄い瞳は暖かく
白い頬を少しだけ赤く染めて
養護教諭の”氏原先生”は俺に優しく笑いかける
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
104 / 448