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氏原side‥₁
今朝もまだ、僕が家を出る頃には康明の車はあって
今頃あの無意識の出勤支度の途中なのかなとか
想像しながら笑みが溢れた。
運転席側のサイドミラーに簡単に作った
弁当と言うには少し小さめのタッパーを入れた袋をかけ、
自分の車に向かった。
康明は元々少食で、買う時間が無いとか面倒くさい
なんて理由で朝も昼も食べない事が多いから
新学期前に身体に悪いよってしつこいほど言ってたら
「んー、……幸人が毎日作ってくれるなら食う。」
とか僕にとっては最高の口説き文句を言い放たれて
そこから僕らの間に新たに出来た約束事だった
でも、どこで渡すとか何も詳しい事を決めないまま
今日になってしまって
車に引っ掛けておくだなんてムードも何も無いけど
生徒や教師に見られる心配がある学校で手渡しするよりは
こっちのほうがマシかなって思った
まさか眠すぎて気付かない…なんてことは無いと思うけど
康明だしなあ…心配。←
”おはよう。サイドミラーにお弁当掛けといたよ
渡し方も、これから考えとかなきゃね
今日からまた頑張ろう!!”
それだけメッセージを送って車を走らせた。
そして、今
ちょうど朝のSTが終わったくらいの時間
聞きなれた、間違う事の無い足音が近付いてきて
扉を開けると僕が待ち望んでいた人の姿が見えた。
「氏原せーんせ、おはよ。」
「おはようございます。…高木先生」
お互いを名字で、”先生”と呼ぶのも何だか久しぶりで
今では少し照れてしまう
少し前までは、名前で呼ぶたびに心臓の音が聞こえるんじゃないかってほど緊張してたのに不思議。
康明は保健室に入ると、ぐるっと室内を見渡した。
「誰もいねーのか?」
「…うん、まだ彼も登校してきてないから。」
彼というのは、保健室登校の生徒…僕の苦手なトモナリ君
康明もその子の存在を知っているから室内を気にして
見たんだろう。僕が小声で囁やけば、康明の口角が
片方だけ上がる。
この、意地悪な顔に、少しずつ近付いてくる足取りに、
ぞくりと腰のあたりが疼くのは多分
康明が、そういう事をするときにいつもこうするから
いつの間にか僕は、康明に身体を作り替えられてしまった
かのように
彼の手にかかれば簡単に僕は彼の望む通りの反応を示すようになっていた。
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