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ついに幕が上がった体育祭。
夏休みから密かに用意していた各クラスごとの応援看板は、色とりどりにデザインされて応援席を飾る。
午前は個人種目、午後からは団体種目という流れなので
俺は早速高跳びが行われる場所に向かった。
ちなみに、ここはテントから然程遠くない距離で
その中でも一番近いテントが何かといえば、”救護室”だ。
ちらりとテントに目を向ければ、一番に目にとまるのは
幸人の姿。
流石にまだ怪我人は居ないのだろう。
パイプ椅子に座っている幸人と目が合う。
小さく手を振りながら「が ん ば れ」ってクチパクで
言ってくれたの、ちゃんと伝わったぞ。
でもその隣で、ドス黒いオーラを放つクソガキが
幸人の事ガン見してるから気付いてやって。
またお前かという顔で、じとーっと俺にガンつけてくる
トモナリとか言うがきんちょに、べっと舌を出して踵を返す。
なんて大人気ない行為だよ。
自分でも呆れるほどだ。
それにしてもあのガキ…。
俺の前だと性格悪そうな顔しかしねえのに
何だよ、あの幸人に対する気持ち悪いほどの笑顔は。
幸人は幸人で、手とか肩とか触られても止めねーし。
誰のもんなのか少しは自覚しろっての。
やり場のない苛立ちからか、目の下がピクピクと痙攣した。
「…あ、あの、高木先生?次先生の番です…」
「あ?」
「ひっ…」
どこぞの生徒が俺の順番を知らせ、逃げるように走り去った。
順番といっても、今は最終調整というか、まぁ練習なんだけど。
何だアイツ。人の顔見て青ざめやがって。
はぁ、と深い息をつく。
それがガキに対抗心燃やしてる自分へのものなのか
今から始まろうとしている競技に対するものなのか
自分でもよくわからないまま。
とりあえず、この棒落とさずに跳んだらいいんだろ。
特に助走をつけるでもなく、両端を支えられただけの棒に近づく。
そこで気付く。
あ、これ練習にもならねえ。
少し踵を浮かせて右足から順に跨ぐ。
一応、気持ち程度に跳んではみたけど
いとも簡単に越えてしまった低い位置にそびえる棒きれ。
んー、なんか
いける気がする?←
ウォーミングアップ用にと低い位置に設置されたそれでは、ジャンプするまでもなかった。
高身長が功を奏したようだ。
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