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午後の部は、団体戦を中心に競技が行われる。
その中でひときわ存在感を示すリレー競技。
団体種目の中でも大トリを務めるそれは、何故か毎年出場者を困らせて困らせまくるそうだ。
「さて、体育祭も残るはあと1種目となりました!
毎年異様な盛り上がりを見せる障害りれーは、
一度休憩を挟み15時より開始いたします。
出場される皆様は―――…」
疲れ切っていた生徒たちの顔が、体育委員のアナウンスによってキラキラと光りだす。
逆に、出場者は明日世界が滅亡するかのように肩を落とす。
イマイチよくわかっていない俺と幸人だけがその場に溶け込めていない状態。
「え、ナル先生結局出るんスか。」
収集場所に既に居たナル先生に声をかけると、
それはもう物凄い形相で俺を見た。
「仕方ないのよ運動音痴の余り者教師はここに放り出される運命なの仕方ないの…。」
「…何がそんなに嫌なの。」
ナル先生に半ば呆れつつ幸人が言った。
うん、それ俺も気になるんだよ。
「あのくじの入ったボックス見える?
あの台の下、人が入ってるのよ……。
毎年出場者の弱みを握っては、恥ずかしいお題や無理難題を突き付けてくるの……
教師に対してはたまに私怨も入ってるわ。」
…oh
どおりで教師がこぞって幸人に押し付けたがるわけだ。
周りを見渡しても俺たち以外に教師はいない。
あ、教師チームを除いて。
リレー形式のそれは各クラス3名ずつが出場する。
俺のクラスは第一走の生徒Aから2走の渡辺に次いでアンカーが俺。
教師チームの第2走が幸人、ナル先生は俺と同じ第3走だ。
それぞれのスタート位置に移動しようとした時、少し遅れて渡辺が合流した。
「え!ゆきちゃんも2走?やっば一緒じゃん!そろそろ運命感じそうなんだけどー!」
甲高い声が2走のスタート位置から響く。
そういえば午前中もあいつら一緒に走ってたっけ。
ゆきちゃんと呼ばれた人物は、渡辺に手を振って走り寄って行く。
2人の会話は聞こえないものの、他の走者の重い空気の中、あいつらだけは楽しそうで嬉しそうで
ぼーっと眺めていると、ちょうどこちらを振り返った2人と目が合った。
「「がんばろうねーー!!」」
大きく手を振ってトラックの反対側にいる俺たちに向かって声を張り上げる2人。
渡辺はまだしも、幸人に関してはお前いくつだよって突っ込みたい。
けど
こんな風に、心の底から楽しそうに笑う幸人を見るのもなんだか珍しい気がして許してしまう俺も相当だな。
思わずナル先生と顔を見合わせて笑う。
手を振りかえしたとき、ついに第1走スタートのピストルが鳴った。
ある生徒は
『彼女。(居ないなら今から作ってこい)』
というお題に泣く泣く応援席中を走り回り、
またある教師は
『ピアス返せメガネ。(嫌ならうさぎ跳びでトラック一周)』
というお題に誰だと怒鳴りつつぴょんぴょんしてる。
確かに結構鬼畜かも…。
てか素直に引かされた紙に従う教師も教師だよ。←
見ている側と出場側のテンションは全くの真逆。
生徒指導のメガネ先生可哀想だな、名前も憶えてないけどさ。
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