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Lサイズのポテトを2人で取り合いながら
録画したバラエティー番組を見ていた。
「ねえ、康明……来週の日曜、何か予定ある?」
どことなくソワソワしている幸人に疑問を覚えつつ、俺はもちろん正直に答える。
「別に寝てるだけだけど。」
途端に幸人の表情はわかりやすく輝いて、
パァァとかキラキラとか周りに文字が見えるくらいだった。
何か予定でもあるんだろうか。
特に幸人をみるでもなく、最後の1本を口に含んだ。
「何かあるなら付き合うぞー。起こしてくれれば。」
サラサラとポテトの残りカスを口に収める。
お決まりのように歯の間に挟まるカリッカリのポテト。
今日も美味かった。
勿論幸人の手作り料理には到底及ばないけれど。
挟まった物を舌でなぞってようやくポテトが口の中から
消えた時、幸人がその先の言葉を何も言っていない事に気づいた。
すぐ隣に居るのに、何も聞こえない。
それは幸人が1ミリも動いていないという事。
呼吸すらまともに出来ていないんじゃないかと疑う
「…幸人?」
不思議に思って振り向くと、予想通りばっちりと目が合った。
固く握る拳、強く噛み締めた唇
そして何より、耳まで真っ赤に染まる肌
思わずニヤリと口角が上がる。
この感じ。この雰囲気は
俺を惹き付けて縛り付け、決して離さないこの瞳は
「ん?何だよ。……言わなきゃ分かんねーよ?
なァ…………幸人?」
可愛い事を言う前の
幸人の癖だってことくらい
あれだけ見て来れば流石にわかる。
「…あ、ぅ……うん、え……と……。
康明と、1日………………デート、したい………。」
「あ?…したいじゃねえだろ。強請れよ。」
命令口調に変え、幸人を羞恥に追いやり
俺の欲しい言葉を
この唇から紡がせる
否応無しに教え込む。
これを言わなければ、と。
願望ではなく、要求しなければいけないと。
「……僕と…今度の日曜、デートして……下さい…。」
「よく言えたな……いい子。」
欲しい言葉を聞かせてくれたら
ちゃんと頭を撫でて、褒めてやる。
幸人に強請れ、ちゃんと言えよと畳み掛ける
これが、俺の捻くれた強請り方。
そのまま後頭部に手を回し、耳元で「いいよ」と囁いた。
一瞬ヒクンと震える身体。
幸人、耳弱いもんな。
頬に手を伸ばし、色素の薄い眼に
ちゃんと見て欲しくて振り向かせた。
自然と溢れるこの笑みが
幸せ、嬉しい、好きだ、こんなにも愛おしい
言葉に出来ないこの気持ちが
幸人に伝わってほしいのに
……伝わらないで欲しいと願う。
対象的な2つの感情
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