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氏原side‥₂
僕の弱いところばかりを刺激していた康明が、突然奥までぐっと突き上げた。
痛みよりも違和感が勝った瞬間で、身体が強張り、持ち上げられていた脚で思い切り康明の細い身体を蹴ってしまう。
それでも構わずぐいぐいと奥の壁を押される感覚は初めてのもので、思わず康明の舌を噛んで長かった口づけを終わらせた。
「…あ?なんだよ……。痛かったか…?」
不服そうに口を話した康明が、少し不安そうな瞳で問いかける。
「や……そ、の…っ痛く、ないけど……」
「じゃあ何……?」
何って…。
そんなの、怖いからに決まってる。
この先に何が待っているのか、自分が壊れてしまわないか
数えきれないほどの不安が僕を襲う。
痛い、痛くないの次元じゃない。
想像もつかないこの先が怖い。
「………怖いよ……。そんなこと、されたことない…。」
震える手を隠して、聞こえるかどうかもわからない小さな声で呟く。
僕の正直な思いを告げると、康明は眉をひそめた。
ギリッと歯ぎしりをして、僕の身体に挿入ってきた時より
何倍も、何十倍も辛そうな顔をした。
「…んなの、全部初めてでいいんだよ。俺とする事が…。ちょいちょい慣れてんの、むかつくんだよ、お前……ッ」
康明の言っていることが、暫く理解できなかった。
でも、見た事もないような顔をされて、揺れる瞳には
涙が溜まっていて、そんな苦しそうな姿に
僕はある事を思い出した。
それはいつだったか、僕が初めて彼に体を許した日。
彼がからかうように口走った台詞だった。
”こういうことされんの初めてじゃねーよな”
あの時、否定してあげられなかった自分を責める。
けれど康明に嘘はつきたくない。
確かに僕は、以前にも男同士の行為をした事があった。
――もう、何年も前の話だけど。
あの時は、お互いに愛のある行為というわけではなかったと思う。
だから、こんな風に、その言葉は無くとも痛いほど感じられる愛を受け止めながらの行為は、全部全部
康明が初めてなんだよ。
それでも康明はきっと、どこか心の奥の奥で
こうして苦しんでいたんだろうか。
殆ど見せることの無い弱々しい表情。
康明がムカつくと言うなら、不安だと言うなら
「…いいよ、続けても……。」
これで少しでも、康明の不安を和らげよう。
僕にはあなただけなんだと、分かってほしい。
年上の余裕と見せつつ、僕に残っている”初めて”を
康明に一つ一つ奪っていってもらいたいという狡い作戦。
「…ほんとに痛かったら言えよ。」
「ん、そしたら…怒る。」
「勝手にしろ…。」
少し和らいだ康明の表情。
それに代わり、僕の顔が強ばっていくわけだけど
今はそんな事どうでもいい。
康明、僕が好きなのは康明だけだよ。
だから康明を信じて、この先のまだ知らぬ道を
目を閉じて、受け入れた。
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