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思い思いに時間を過ごし、気が付けば21時を過ぎていて
そろそろ帰れと生徒たちを促す。
支払いなんてもちろん俺になることは予想できていたし、経費で何とかしてやるよって生徒たちの前では大口叩いておいて、実際に落ちるわけがないのも知っていた。
会計の伝票を見てひくついた笑みを浮かべる俺にため息をついた幸人がこっそり財布からいくらか抜いて渡してくれたのは本当に助かった。
情けないけど、助かった。
むろん、俺に付いて会計場所まで来なかったのは泥酔して歩くこともままならない設定だからだ。
あれからさらに何杯か飲ませて、周りの生徒が幸人の酒の強さを知らないのをいいことに、好き勝手演技をさせてやった。
所々で女子だけじゃなく男子生徒からも聞こえる「可愛い」の台詞にはいちいち睨みを利かせて黙らせる。
なんだかんだでここまで楽しい時間を過ごせたのは渡辺のお陰でもあって、一応感謝しておいてやる。
俺の腕にしがみつき、ふらふらと歩く幸人に近づいてくる数人の生徒。
「氏原先生、ほんと大丈夫~?」
「先生お酒弱いとかかわいいー!!」
「高木先生お持ち帰りして変なことしたらだめだよ~??」
最後のこいつ。悪気はないんだろうけどシャレにならないからやめろ。
「まあ、俺が知らずに飲ませたのも悪いし
氏原先生は責任もって送ってくよ。」
適当に流して外まで出ると、俺たちを待っていたのか渡辺が走り寄ってきた。
「ゆきちゃんめっちゃ酔ってんじゃん!どうやって帰るの?!」
「あ~、歩いてかえるからぁ、へいきらよ~??」
ひらひらと手を振る幸人に、なおも心配そうに渡辺が近付く。
結構こいつ面倒見いいんだよなあ、
なんて思いつつも、あまり幸人の顔を覗き込まないでほしいし触れてほしくもない俺は、
幸人がバランスを崩したように見せかけて
渡辺から一歩後ろに下がる。
「ねえ、高木っち、ウチゆきちゃんの車に荷物とか置きっぱなしなんだけどさ…。」
そっと俺に耳打ちしてきた渡辺の声が聞こえたのか、幸人はかちゃりと音を立て、ポケットの中から車のキーを取り出した。
「こころちゃんごめん~、とりにいってきて~。」
「あ!ええと…うん、わかった!」
急いで駐車場に向かって走ってく渡辺を目で追いながら、幸人が口を開く。
「僕、いつも心ちゃんに意地悪ばっかりしてる。」
「…は?どういうこと?」
「今だって……。わかってるんだけどなあ。」
曖昧に笑う幸人の言葉の意味はよくわからず、
首をかしげると何でもないといって強めに腕を握られた。
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