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氏原side‥
緊張して、何もうまく行かない…………。
どこかで意識してしまっているのか、いつも通り過ごそうとしても康明への態度が堅苦しくなってしまう…。
康明は気付いていないのか、今ものんきにタバコを吸っている。
もう。
こっちの気も知らないで。
なんて。
いつも通りでいてくれる彼には感謝しかないけれど。
「幸人ー、こっち来てー。」
ベランダから康明の声が聞こえて慌てて見に行く。
「ん、どうか―――…」
ひょこっと顔を覗かせると、康明は目を閉じて気持ちよさそうに風を浴びていた。
その姿は絵に描いたように美しくて、
輝く太陽も、流れゆく雲も
何もかもが康明を惹き立てるための脇役になっていた。
「お、来たか。
なんか涼しくねえ?いや暑いけどなんか…。」
「秋の風になったね。」
「…あぁ。」
康明と僕が出会ってから、もう一つの季節を超えたね。
このまま、秋も、冬も、春も、そして二度目の夏も
あなたの隣に居られたらきっと僕はそれ以上は望まない。
「心ちゃんに、秋物の服買ってもらったんだーっ
学校にも着ていけるやつ。」
「……え、お前女子高生に買わせたの?」
「あっ、ちが……………あの…………」
そこで自分が口を滑らせたことに気付く。
そうだよ。
普通に考えて10も歳下の女の子に服を買わせるなんて
よっぽど何か理由がない限り人としてどうかしてる…
怪訝な目で僕を見る康明。
言おうか、言わまいか、悩んだ末に
僕は康明に見限られないよう、自分の中の1つの
計画を壊した。
「……その、僕ね。今日誕生日だから…それで
いいって言ったんだけど買ってくれるって………。」
それでも普通の大人の男なら
気を遣わなくていいと押し切るところだろうけど。
「あ?」
……………………うわぁ…。
あ?て言われた。あ?って。
絶対怒ってる…
僕のバカ、なんで断らなかったんだ、人でなし…バカ…。
熱くなる目頭に必死に力を入れて耐え、
康明に謝ろうと口を開いたその時
「何で俺に言わねえんだよ。
せっかく誕生日なのに…今日何もしてやれてねえ。」
康明は、年甲斐もなく頬を膨らめて
火を潰したタバコの吸い殻をいつまでもつまらなそうに
いじっていた。
え、やばい……待って。
すっごく可愛いんだけど…………。
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