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このあたりではそこそこの知名度のある洋菓子店に辿り着くと、
想像はしていたけれどやっぱり駐車場はいっぱいで
普段こんなに人の居る場所に出向かないせいで
実は既に疲れている。
でも、今日は幸人のためだから
疲れたなんて言ってられない。
店に入った瞬間広がる
頭がくらくらしそうなほど甘ったるい匂いに驚いたが、
種類豊富なケーキを眺める人たちは皆、
その匂いすら楽しんでいるように思えた。
勿論、口には出していないけど、幸人も。
さっきまでの緊張した面持ちとは一変
瞳をキラキラと輝かせ、
生クリームがたっぷり乗ったイチゴのケーキを
眺める姿は、
とても26歳の男とは思えないほど幼くて、
あどけなくて可愛い。
しかも、そこからじっと動かずにいると思ったら、
チラチラと横目で他のケーキも物色してやがる。
近くに寄ると、む~だかう~だか
よくわからない唸り声も聞こえたりして
正直、笑いをこらえるので精一杯。
「おい。決まった?」
「っわあ!!」
よほど集中していたのか、幸人は俺が背後に回っていたことに気が付かなかったらしく
店内に響き渡るほどの声を出して盛大に驚いた。
「っはは。別に一つしか買うなとは言ってねーよ。」
「……え?」
「好きなもん買えよ。
俺も少し貰うし。」
「…………本当?」
「ん。」
「わぁぁ………っ」
瞳を潤ませて嬉しがる幸人をみて
昔飼っていた犬に散々”待て”を食らわせて遊んでいたのを思い出した。
”よし”って言った瞬間の
感動と喜びを前面に出してくるあの目が、いまここに…。
きっとそんな事を思っていると本人に知られたら
真っ赤な顔でプリプリ怒るんだろうな
思わずふっと笑みがこぼれた。
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