アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
265
-
昼休憩まではまだ時間があって、かつ自分たちの出し物も売切れた俺たちは、もちろん残された時間は自由に他のクラスを回ることが出来る。
「ナベちゃんと高木先生ずっと見ててくれたし片付けは俺らでやるよ!」
「そうだよ!ちょっとその辺見てきなよー!」
生徒たちに教室を押し出され、なんやかんやで来てしまった二年生の教室棟。
そこはなんというか、悲鳴で溢れかえっていた。
「よしくんのクラスの手伝いってことだよね?ゆきちゃん…」
「まあ…そうだろうな。」
一瞬誰かと思ったが、そういえば兎毛成の名前は美晴だった。
渡辺は気が抜けたとき、たまに無意識によしくんと呼ぶことがある。
「2組だと思うんだけど…あそこだよね……。」
「だな…。」
「いや、アホみたいに行列できてんじゃん?!」
「やばいな……。」
「ちょ、高木っち早くいかなきゃ!!ゆきちゃんが他の女といちゃついてんだよ?!」
いやあ、でも客として俺が入るとこじゃねえだろ…ここ……。
目の前まで来ると、かなり凝っている内装にびっくりする。ウチのクラスは販売が目的だったから窓に段ボールで屋根とかお菓子を作って貼り付けただけのシンプルなものだった。
それに比べてこのクラスは疑似ホストというだけあってとことんこだわりを持っている感じだ。
その赤いカーテンと黒いクロスどこから入手したんだよってくらい本格的。
2年2組がこの出し物に決めた理由は単にこのクラスに顔のいい奴が多いからだそうだが、それでも霞んでいる。
あの、きらっきらの本物さんもビックリのたたずまいのアイツを見たら全てが脇役、引き立て役、言い方を悪くすればゴミみたいなもんだ。
それくらい輝いていた。
俺の恋人は。
「よし、ちょっとお前行って来い。」
「へ?!ウチ?!無理!!あんなゆきちゃん無理!!」
「スマホ胸ポケットに入れてずっとカメラ向けとけ。
そんであと動画送れ。」
「……なにそのストーカー気質…。」
「いいだろ。俺行ける空気じゃねーもん。」
「……はいはい。そのかわり、並ぶときは一緒に並んでてよね。」
「わーったよ。」
こそこそと会話をする俺たちに、輪の中心でアイドルスマイルを続けている幸人が気付くことはなく
並び続けて足が痛くなってきた頃、ようやく渡辺が無駄に輝かしい室内に消えていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
267 / 448