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時計の針が頂点を過ぎ、それまで空いていた揚げ物や焼き物の模擬店が混雑してきた頃、幸人から電話が来た。
『あ、高木先生?さっきまで兎毛成君のクラスの手伝いしてたんだけど、やっと人が落ち着いてきたからいい時間だしお昼どうかなって思って!…もしかしてもう食べちゃった?』
「いや、俺も食べようと思ってたとこだけど…。」
『え、本当に?やった!!…焼きそばとお好み焼きどっちがいい?』
そういえば電話越しに聞こえる賑やかな声、ジュージューと美味しそうな音。もしかしてこいつ…
「並んでんの?」
『そうそう!あと2人だからすぐだよー!!』
「お、おう…流石だな。」
『でしょー。高木先生、こういうの待つの絶対嫌いそうだし。』
「よくわかってんじゃねーか。」
『えへ…「お待たせしまし…あーー!氏原先生!いらっしゃいませー!!」』
えへへーという可愛い声がかき消され、代わりにどこぞの女子生徒の黄色い声が耳に響いた。
思わず耳をスマホから離すと、次いで聞こえてきたのは幸人の声。
『え、で、どっちー??』
「んーー、両方。」
『えええぇ…。もうっ。
じゃあ、焼きそばとお好み焼き1つずつください。
「はーい!ありがとうございまーす!」』
1つずつと聞いて、幸人と俺で1つの物を半分こすると思うやつ、居ないだろうな。
幸人は俺が食べきれずに残した物を何とも美味しそうに平らげる。
むしろ自分の前に置かれた自分の為の物より美味しそうに食べる。
完全なる変態思考だ。
幸人が女子生徒と話している声をこれ以上聞いているのも何となく耳が腐りそうな気がして適当に電話を切る。
”化学室な”
そうメッセージを送って、俺は一足先にそこへ向かった。
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