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悲痛と抗えない快感に泣き叫ぶ幸人を化学室に閉じ込めて一人、Rickyを迎えに駐車場へ向かった。
自分の子供じみた感情に情けないと思いつつも、
幸人にちゃんとわからせるため、
Rickyの公演が終わるまで化学室に戻る気はさらさらない。
嫉妬だとか悔しさだとか、そういう類の負の感情も確かにあるが、それを大きく勝るのが好奇心。
俺が今からRickyを送り出して幸人の居る化学室に戻るまでに、軽く1時間はかかる。
その間、いつまで意識を保って、喘いで、泣いて、怒って、イき続けるのか。リアルタイムで見る事は出来ないが、戻った時の光景を見るのが楽しみで仕方がない。
まあ実際、あそこまでフル装備するつもりはなくて、自分でも少しやりすぎてしまったとは思っている。
でも、幸人の縋るような目が、助けを求めるその瞳が、俺を奮い立たせてしまったから仕方がない。
考えれば考えるほど疼く下腹部に、思わず小さく笑いを溢すと
聞き慣れているようでそうではない、機械を通さずに生で聞くにはかなり懐かしい声が聞こえた。
「よう。楽しそうだな。」
「…誰かさんのおかげで。」
「そりゃどうも?」
「…おぅ…。…変わんねえなお前。」
「んな誉めても何もでねぇぞ。」
「誉めてねーよ。」
こいつの素性を知っているのは恐らくこの学校で俺ただ一人なわけだが、
Rickyに夢を抱いている奴らに対して声を大にして言いたい。
こいつは俺様ナルシストで訳の分からんプラス思考の持ち主だと。
中毒性のある音楽だとか独特な歌詞表現だとかよく持てはやされているが、ご本人様はそれを
「当たり前だろう、だって俺なんだから。」
とド真面目なテンションで返すような奴だと。
「食べ物の匂いで溢れかえってるな。」
「そりゃ文化祭だからな。」
「吐きそうだ。」
「ビニール袋なら3つ持ってきた。」
「出来る男だな、誉めてやろう。」
「いらねーよ。」
こいつの扱いにはだいぶ慣れたが、それでも時々突拍子もない事を言い出すことがあるから、一緒に居て飽きずに済む。
あまり人を信用せず、なかなか心を開くことの無いこいつが俺に対しては心を許してくれているのは伝わってくるから、こんな風に俺様な態度でかかってきてもイラつく事無くやっていけているんだろう。
本当に、罪な奴だと思う。
「はやく連れていけ。誰にも見れらる事の無いルート、
勿論用意してあるんだろう?」
「当たり前だろ。」
久しぶりに話す友人は、相変わらず顔色が悪く、昔に比べて少し痩せたようにも思う。
だがその完璧なルックスは全くもって劣っておらず、男の俺でも気を抜くとその姿に見惚れる程だ。
幸人に見せなくてよかったと心から思う。
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