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おまけ 2
兎毛成side‥₂
忘れるはずがない、この声
歌っているときと違って、少し低くて怠そうなのは、ライブを終えて寝ていたところを僕が起こしてしまったからだろうか。
「り…………Rickyの、声…………。」
「聞いてくれてたのか。」
「…そ、そりゃ…もちろん……。」
「どうだった?」
「………ふえ…?」
「俺のステージング。
どうだったか聞いてるんだよ。」
「………あ、あの…こ、声が…素敵で…初めて、聞いたのに…なんか、泣けて…。えと、正直…覚えてない…です」
本人を目の前にして、まともな言葉を連ねる事も出来ないまま
覚えてないとかめちゃくちゃ失礼なことを言ってしまった…。
なのに
「……ふっ。そうか。」
笑った。
Rickyが、僕を見て笑った。
それだけでもう、僕はパニックになってしまう。
氏原先生の笑顔はいつもほっこりして心が温かくなる。
それを恋だと思ってた。
僕が好きなのは氏原先生だって、そう自分に言い聞かせてきた。
なのに、それとは違う全身が熱くなる感覚
胸が苦しくなって、息の仕方も忘れそうなこれは…何?
鳴り止まない心臓の音はRickyにも聞こえているんじゃないかと思う。僕自身、今までこんなに心臓がバクバク音を立てたことなんてなかったし、これを抑える方法もわからない。
ただ、胸に手を当てて
静まれ、静まれと頭の中で唱える事しかできない。
そんな僕の姿を見ていたRickyが、
ベッドから体を起こして再び笑った。
「お前、そんなに俺の事が好きか。」
「…………す、き…です……?」
無意識に口からこぼれていた台詞。
にやりと口元を歪めたRickyはドヤ顔で言い放つ。
「そんなに好きなら、俺と付き合うか。」
「………………………へ?」
人生が大きく変わったこの瞬間を
僕は生涯忘れることはない。
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