アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
爽やかな朝。
少し冷たい空気を肺一杯に吸い込み大きく伸びをしながら校門をくぐって中へと進んでいく。
実に爽やかないい朝だ。
朝早く起きて飯の支度をしてやって弁当も作ってやったってのに…あのクソ野郎、部屋にいやしねぇ。
…連呼していた爽やかはどこへいったのやら。
くそムカつくイライラを募らせながら真っ直ぐ体育館へと向かった。
渡り廊下を進みスノコの敷いてあるコンクリの通路を渡って先にある体育館の前に立つ。
ホンの少し開いてる鉄製の引き戸から中を覗くと。
ガシュッ!!
その視界の先でタイミングよくクソ成田がダンクを決めた。
「…ただデカいだけじゃねぇんだな。」
リングから手を離して床に下りるなり投げられたボールに向かって駆け出すクソ成田。
ぐんぐんと上がっていくスピードはコートの中にいる誰よりも速く、アッと言う間にボールを奪うとヤツはまた敵軍に向かって走り出した。
そんなヤツの姿を見ながら俺は、さっきまでのムカつきも忘れてその場を離れ自分の教室に向かって歩き始める。
なんだか妙な気分だった。
俺の知ってる成田が日増しに知らない奴になっていく。
複雑な気持ちとヤツの分の弁当を抱えて教室に入り自分の席に座る。
腕を組んで目を閉じて…しばらくした後、授業開始のチャイムが鳴った。
一時間目が終わり…
二時間目が終わって三時間目になった。
四時間目に入ったってのにあの野郎!
休憩時間の間に来ねぇし弁当を取りに来いって俺のメールに返事もよこさねぇ!
どんどん募っていくイライラは授業終わりのチャイムと同時に爆発して。
「成田!テメェいい加減にしやがれよ!!」
まだチャイムが鳴り終わってもないのにヤツのクラスのドアを力任せに引き開け、勢いそのままにヤツに向けて怒鳴りつけた。
シンと静まり返る隣のクラス。
そんな中で苦笑いを浮かべながら立ち上がった成田は足早にこっちに向かってくるなり俺の手をとった。
「んだテメェ!気安く触んじゃねぇよ!」
「ハイハイ、行くよ圭ちゃん。」
「“ハイハイ”じゃねぇよ!」
「あーゴメンゴメン。」
怒鳴る俺に苦笑いを向ける成田に手を引かれて廊下の突き当りまでくる。
そのまま階段を上がろうとするヤツの手を振り払って俺は。
「なんなんだよテメェは!」
Maxの怒りを込めてヤツを睨みつけた。
「圭ちゃんここじゃまともに話せないでしょ?」
「はあ!?話なんてする…」
「とにかく腹減ったからお弁当食わせて欲しいんだけど。」
「テメェ!バカにしてんのかよ!?」
飄々としてるその姿と言い草がイチイチ癇に障る。
持っていた弁当箱を振り上げた俺はそれをヤツに向かって投げつけようとして…!
ガシッ!
その箱をヤツに奪われた。
「落ち着いて、圭ちゃん。」
「ふざ…」
「メチャ目立ってるから。」
言われてハッとして周りを見れば…遠巻きだけど確実に野次馬が群れを成しつつあって。
「行くよ。」
捕まれた腕を引かれて俺は早足で階段を駆け上がった。
前を駆ける成田の背中が微かに揺れてる。
クソ…
コイツ笑ってやがる。
なんだか無性に恥ずかしくて俺は言いたかった文句も全部噛み砕きながら階段を駆け、上がり切って。
「到着!」
屋上に通じる踊り場に到着するなり大きく息を吸い込んだ。
「テメ…」
「圭ちゃんきっと俺の顔なんて見たくないだろうと思ってさ。」
「はぁ!?」
「だって昨日はそんな勢いだったじゃん。」
「ったりめーだろうが!」
「だからさ、腹減ってたし圭ちゃんの顔も見たかったけど…我慢して先に来たんだよ。」
言い終わった成田はその場に座ってあぐらをかき足の上で弁当の包みを開いた。
カパッと開かれた蓋の中は…ものの見事に偏った俺の作った弁当で…。
「んなもん食うなよ…」
「なんで?俺、圭ちゃんの作ってくれる塩卵焼き好きだよ。」
「そういうんじゃなくて…」
「大好きな人が作ってくれたものを粗末にするとか無理だし。」
「だからそういうこと口にすんな。」
ガツガツと食ってたヤツはアッという間に平らげると元の通りに弁当の蓋を閉じ掌を合わせた。
いつもと変わらぬヤツを見ながら俺はなんとなく気が抜けて…短く溜め息をついてその場に腰を下ろした。
するとすぐに視線を感じてそっちを向けば極側に成田の顔が…。
「ちか…ッ…」
言い途中の言葉ごとヤツに奪われてしまった。
開いていた唇から舌が滑り込んできて俺のに絡みつく。
舌と唾液を吸ってくるヤツの舌からはほんのり卵の味がした。
「ん、クソ成田…」
「キスならいい?」
「わけねぇだろ!」
「キスするだけ!それ以上はしないから!」
「クソ!バカ!シね!」
「じゃなきゃ…もっと、するよ?」
ゆっくりと言った成田の低い声に嫌な予感を感じる。
昨日イヤって程わかっちまったからな…俺とコイツの力の差って奴を。
深い深い溜め息をついた俺は…ジッとみつめてくるクソ野郎を憎々し気に睨みつけて。
「キス、だけだ。」
「男に二言はない?」
「あ?当たり前だろ!だからお前も…」
言いかけた唇に噛みつくようなキスがされ意表を突かれた俺は成す術もなく床に押し倒されてしまった。
「やめ、…っ!」
必死に押し返すけどちくしょう!
ビクともしねぇ!
なんかこのパターン、覚えがあるな………じゃなくて!
「テメェ!調子に乗んじゃねぇよ!」
「キスならいいって言ったばっかっしょ?二言はないんでしょ?」
「は!?だからって…」
「キスしかできないんだから大目にみてよね。」
「なり…っ」
言い終わる前に再び唇が塞がれて言葉も息も全てが奪われる。
あまりの激しさに息もまともにできないまま俺は、ヤツが身体の上からどくまでずっと“キス”という名の拷問を受け続けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 14