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訓練兵時代 世界観、設定
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ーー最期に見たのは、炎に包まれた街とーー
ーー穏やかにわらう、貴方でしたーー
「どうしたのエレン、顔色良くないみたいだけど」
「んー…ちょっと嫌な夢見ただけだ」
正確には夢ではない。1回目の、記憶。もう何度繰り返したかもわからないけれど、1回目の死に際だけは今でも鮮明に思い出せる。
人類が敗北し、世界が紅く染まった日ーーー
俺は未だ1度も巨人に勝利したことがない。細かな違いはあれど、最後はいつもあの人の背中を見るのだ。動けなくなった俺を庇う…あの人の。
きっといつか巨人に勝利したとき、この繰り返しは終わるのだろう。そのためには、やはりあの人がいなければならない。ーー兵長。
俺は、今度こそ最後まで戦い切るために、技術を磨いてきた。いつからか、訓練兵の成績はミカサをも上回っていた。千年の努力の賜物だ。本当は何年かなんてわからないが。
「大丈夫なのエレン、今日は休む?」
「大丈夫だ。体調悪いわけじゃないし」
「…そう。でも、無理はしないで」
ミカサは初めに比べて過保護ではなくなった。経験から、俺がミカサより強くなったからだ。それでも、俺を守ると言って努力しているのは変わらない、だからミカサは強い。
でも、俺もミカサを守りたい。アルミンを守りたい。みんなを、まだ遠く及ばないけれど、兵長、あなたを。そのため、永い永い時の中、俺は技を磨き続けた。俺がこの繰り返しの中で次へ持っていけるのは、この技術と記憶だけ。いい加減自分の限界も把握している、努力はしても力では敵わない相手など山ほどいる。力で駄目なら技術で、と気づいたのは何回目かの兵長との特別実技訓練だった。
勿論兵長は力も半端なく強い。しかし、少々小柄な彼は、自分より大柄な(巨人という意味ではない)相手と対峙することも多く、技術も半端なかった。
初め何回かはただ翻弄されるばかりだったが、気づいてからそれを呑み込もうとする動きは早かった。体術に立体機動のコツ、盗めるものは全て盗んだつもりだ。
…ただ、兵長に対する下心は無いわけではなかった。あの人類最強と、及ばないまでも同じ動きをする訓練兵。誰の目にもとまらないわけがない。いずれ兵長の耳に入って、少しでも関心を向けてもらえたらと。
俺、エレン・イェーガーの過ごすn回目の世界は、こんな感じで回っている。
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