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番外編 何もかも
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10日振りの太陽は、今までに感じたことが無いほどに眩しくて。目を細めて辺りを見回すと、化け物の処刑を今か今かと待ちわびる人々が視界に入る。その中には、僅かに震えながら青白い顔を上げ、俺の最期を見届けようとする親友の姿もあった。
お前が世界の何より信頼できると言った2人は、もうお前の側にはいられない。お前だけをこの世界に残して逝くのは、耐え難い程に悔しいけれど。強く、強く生きてほしい。頭のいいお前のことだ、きっと俺なんかが心配するようなことは、何も無いのだろう。それでも。
「ごめん、な」
ぽつりと呟くと、それをしっかり耳にしたらしい兵長がこちらに振り返った。
それに微笑で返し、断頭台へ続く階段を上がっていく。もう一度、今度は俺の前を進んで行く貴方に、ごめんなさい、と呟いた。
「……最後だ、何か言い残すことはあるか」
遠くまで見渡せる程の高さのある処刑台を登り切った先で、兵長によって問われる。言い残すこと、心残り。そんなの、一つしかない。
「俺、最期は貴方の手で逝きたいです。兵長」
言うや否や、余裕をかましていた憲兵殿が職務を怠って下さったおかげで隠し持つことに成功した小さな針で、手のひらに穴を開けた。蒸気を上げる身体に、一瞬確認できた貴方の驚いた顔。そして人々の悲鳴、逃げ惑う姿。
そして更に恐怖を植え付けるために、一際大きな声で、吠えた。
これはとても嫌な例えであるけれど、人は、一つでも共通の敵を見つけると団結できるという。今までもこれからも、この世界での対象は巨人だった。それはけして変わらないけれど、もしもう一つでも、敵が現れたら。そして、それが世界から消え去り、復讐などされる恐れがないのだとしたら。……エレン・イェーガーを、その一つにしてしまえば。
長い人生の終わりがこんな悪役なんて最悪かもしれないけれど、大好きなこの美しい世界の為ならばそれも構わないと思えた。
これで、悪かったのは俺だったとわかってもらえたかなぁ。調査兵団は何も悪くなかったって、団長は、何も間違ったことなどしていなかったって。浴びせられる罵声に含まれる、「やはりお前が」「人類の敵」という言葉に、悲しくなると共に安堵した。
うなじには痛みなど感じなかったけれど、巨体が消え去ったにも関わらず蒸気をあげ続ける自分の身体に、死を実感した。悔しそうに、苦しそうに顔を歪める貴方を見て、やっぱり俺は最低なことをしているんだと、胸が熱くなる。けれど兵長、これできっと貴方の地位は安泰ですよ。貴方は罪のない民衆を、恐ろしい巨人から救ったのですから。人類の敵は巨人であることが証明され、きっと人間同士で殺しあうなんて悲しいことも起こらないでしょう。そんなこと、希望的観測過ぎるでしょうか。でも俺にとっては、これが最善でした。皆のためにできる、一番の。
沈んでいく意識の奥底で、僅かに唇が暖かくなった、ような気がした。
白い空間。足元ですら曖昧な、只管白いだけの場所で、目が覚めた。
あれ、俺、一体どうなったの。確か、処刑台で巨人化して、他の誰でもない、兵長の手で殺してもらえて。
それで、これは、一体。まさか、また、繰り返すのか?
『……おはよう、エレン』
いつかの日に聞いた声。その主を探して、視線を彷徨わせる。
『……お前は一体、』
『お前は、ここから始まったんだ』
俺の言葉を遮って話し出すその人。姿は見当たらず、声だけが響いているような状態だ。もしかしたら、頭に直接流し込まれているのかもしれない。
『全ての始まりの場所。そして、これからまた【エレン】が始まる』
『【エレン】は、希望なんだ。この世界を変えるための』
『お前は、もう役目を終えた。もう次の【エレン】に全て託して、休むといい』
かつ、かつ、と足音が近づいてくる。その方へ顔を向けて、絶句した。そこにいたのは、この声の主は。
『……俺?』
まるで鏡に映っているかのようだ。なにもかもが同じ。唯一違うのは、その表情だけだった。
『おかえり、エレン』
最後に感じたのは、包み込まれるような暖かさ、安心感。あぁ、帰ってきたんだな、と。全く知らなかったはずなのに。
そして意識はブラックアウトした。
何もかも、始まりへ還る
(そして目が覚めた【エレン】の願いにより、新たに長い闘いの幕は上がる)
ごめんなさい番外編がこんだけ長引くって何考えてんだですよね本当すみません!
最初から最後までうだうだうじうじと本当すみませんでした…。グダグダ感が半端ないです。
これ解説いりますか?というかなきゃ意味がわからないですよね。しかし書き始めから大分日が空いてしまったため、割と最初考えていたものと変わってしまっていますし、そもそもプロットのようなものすら立てずに思うがままにつらつらと書いていたため、正直な話あんまり覚えていないという…。すみません。
というより解説しなきゃ読者に通じない小説ってなんなんだって話ですね。精進します。
長くなっちゃいそうなのでもし要請があればということで。しかし誰も興味無いですかね。そんな気がします。
さて次回からはギャグを絡めて、日常のお話に戻りたいと思います。長々とお付き合いくださりありがとうございました!
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