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訓練兵時代 掃除の時間
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「あー、掃除とかマジでだりぃよな」
「こんなん男子寮なんだから少し位しゃーねぇだろってな」
「おい、真面目にやれよ…」
「うっせぇな。つうかお前は普通俺ら側だろ。何で掃除だけはきっちりやるんだよ」
「……癖で」
「何だそれ」
先日、抜き打ちで室内点検が行われた。サシャが調理場から食材を盗んだことがバレたからだ。本当にいい迷惑である。
男子寮は察しのいい皆さんならお解りいただけるだろう。見られて困るようなものは特に無いが、何分散乱していて酷い有様だった。特にコニーやジャンあたりが。よって片付けを命ぜられたのだ。しかし、兵長と長く過ごした俺の身の回りは汚れは疎か埃一つ落ちてはいない。一発で「悪くない」の一言を貰えるまでに成長した俺に死角は無かった。代わりに他の奴らの面倒を見るよう命ぜられたのは解せないが。訓練でもさせてくれ。
「にしてもエレンは潔癖っぽくはないのに、本当に掃除だけは徹底してるよな」
「昔からだよ、僕も色々なやり方を教わったんだ。どこで習ったのかわからないけど」
「……まぁ色々とな、癖みたいなもんだって」
そう、掃除だけは、あれだけ毎日やっていたから。何度蹴られたことか。……何度蹴られたことか。遠い目をしていると、再び教官が点検に訪れた。元々ライナーやベルトルト、アルミンなどは問題無かったが、問題児(コニーやジャンなど)は再びやり直しを言いつけられたようだ。ジャンはマルコを見習え。コニーは……もう、何も言うまい。
「おいコニー、それ貸せ」
「はぁ?やだよ」
「いいから貸せって。見てろよ」
あまりにも手際が悪く、このままではいつまで経っても掃除が終わらない。連帯責任で食事抜きなんて冗談じゃない。半ば奪い取る形で衣服を受け取り、畳み始めた。するとなんということでしょう、ものの10分程度で整頓が終わってしまったではありませんか。どうやらジャンの方もマルコのお陰でなんとかなりそうだ。
……こんなの、しょっちゅうやってたらたまったもんじゃない。今回引っかかった奴らには、俺から兵長直伝の掃除術を伝授してやることにしよう。
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