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僕とたかきよくんがお絵かきをしている間に、凛のお弁当が出来上がったから、家の戸締りをして、四人で出かけた。
たかきよくんのお父さんが乗って来ていた車の前に凛が、後ろに僕とたかきよくんが乗る。
滅多に人間界に来ない僕は、とてもワクワクとして、車の窓から見える景色を眺めていた。
目的地に着くまでの間、窓の外を眺め続ける僕に、隣に座るたかきよくんが、いろいろと話しかけてくる。まだ幼い高い声で話す内容によると、たかきよくんは、お母さんが人間だから、よく人間界には遊びに来ているそうだ。
でもお家は妖狐一族が住む郷にあって、広い大きなお家で広い庭もあるから、そこで変身の練習をした、と必死に話していた。
僕は、外の景色を見るよりも、コロコロと表情の変わるたかきよくんを見てる方が楽しくなって、「うんうん」と頷きながら聞いていた。
僕のことも聞かれたから、「天狗の郷にお家があって、僕も庭で強くなる練習をしてるよ」と話すと、シートベルトで動けない身体をジタバタとさせて、「すごい!」と喜んでいた。
そうやって話しに夢中になってるうちに、目的地の動物園に着いた。駐車場に車を止めて、シートベルトを外して車から降りる。お父さんに降ろしてもらったたかきよくんが、すぐに僕の傍に駆けて来て、嬉しそうに僕の手を握った。
「行こっ、せいらん。せいらんは、ここ、来たことある?」
「うん。前に凛に連れて来てもらったよ」
「じゃあ、何見たい?ぞうさん?ライオンさん?」
「全部見たい。慌てるとコケちゃうし、ゆっくり見よ?」
「うんっ」
そんな話をしながら、手を繋いで歩く僕達の後ろを、凛とたかきよくんのお父さんが、大きな鞄を肩に掛けてついて来る。
「清、いろんな所に連れて行ってあげてるんだね。ちゃんとお父さんしてて、なんか不思議…」
「俺は完璧なイクメンだぜ。だってさぁ、天清の喜ぶ顔、見たいじゃん」
「そうだね。俺も青藍が喜んでくれると思うと、何でもしてあげたくなるよ」
「…凛ちゃん、偉いよな。昔のことを水に流して、鉄さんの子供を可愛がってるんだからさ」
「ちょっ…!清っ。声小さくして。青藍に聞こえる…」
凛が慌ててたかきよくんのお父さんを止めたけど、僕はまだ子供でも妖だ。どんなに小さな声でもしっかりと聞こえる。
今の話し方だと、昔に僕のお父さんと凛の間に何かあったのかな…。
考え込んで俯いてしまった僕の前に、丸い顔が現れる。
たかきよくんが、ニコリと笑って、「早く行こっ」と僕の手を引いて駆け出した。
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